連載
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自分の気持ちを自覚してから話すのも緊張してしまうし、目が合うだけで気恥ずかしい。
いつも高杉の顔が頭に浮かんでくるし…
「土方さん。」
「…ん、なんだ?」
「前見て歩きなせェ。」
「お前が呼んだんだろが!」
今は日直の総悟に頼まれて、ダンボールやらプリントやらを教室まで運ぶのを手伝っているところだ。
にしても、なんて量なんだ。
2人で運ぶにしちゃ多過ぎる。
俺も総悟も両手一杯に抱え込んでいる状態だ。
上のほうのものなんていつ落ちてもおかしくない。
…手伝っている俺のほうが総悟よりいくらか多く持っている気がするのも気になるし。
「あ」
ヒラリ
総悟の持っていたプリントが数枚床に散らばる。
「土方さん、拾ってきて下せェ。」
「は?おい、ちょっ…」
俺の返事も聞かず、落としたプリントもそのままにスタスタと歩き続ける。
落ちたままにしていくわけにもいかないので、チッと舌打ちしてからそれらを拾って先を歩いている総悟を追いかけた。
「総悟ォォ!!」
荷物のせいで走りにくい。
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