連載

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次の講義まで少し時間があったが、特にやることもなく中途半端な時間だったため早めに教室に向かった。

着いてみるとやはりまだ人は少なく、席はほとんど空いていた。

2人は真ん中より少し前のやや端の席に腰をかける。

土方は体を高杉のほうへ向けた。


「さっきはどうしたんだ?」


「…何でもねぇ。」


「何でもねぇってこたあねぇだろ。」


「たいしたことじゃねぇよ…。」


小さく呟いて黙りこむ高杉に土方は溜め息を吐く。

土方にしてみれば食べ終わってそうそういきなり連れ出されたのだ、理由くらい気になって当然だろう。

しかし一度黙り込んだ高杉に口をわらせるのは至難の業。

土方も諦めて徐々に集まる生徒たちの流れに目を向けた。



それから2人、ぼーっと講義の始まりを待っていると高杉は自分の横に人が止まった気配を感じた。


「隣、いいですか?」


「ああ、いい…」


返事をしながら横を向き、少し見上げて、 止まった。

なぜならそこには、椅子に手をかけてにこやかに笑う、今一番見たくない男の顔があったから。


高杉は眉を寄せ、あからさまに嫌そうな顔をするが銀時は特に気にしたふうもなく、椅子を引いて腰を下ろす。


「あっち空いてんだろ」


「うーん、でも俺、いつもここの席なんだよね。」


顔を前に向け、銀時のほうも見ずに言った高杉に笑顔を崩さず答える。


「あっそ。」


「ここ落ち着くんだよ。」


「へぇ、髪の色といい変わってんな。」


「はは、よく言われる。」


何を言っても全く動揺する様子もなく返ってくる言葉に、高杉の機嫌はますます悪くなる。

横目で銀時の笑顔を認めると、再び露骨に嫌な顔をし机に顔を伏せて黙り込んだ。

そんな高杉を見つめる銀時に、土方は違和感を感じたのだった。


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