連載
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「で、土方のヤローが腹壊したおかげで試合出れなくなっちまって、」
「お前が変なモン食わすからだろうが!」
「変なモンとは失礼ですねィ。弁当と財布を忘れたマヌケな土方さんに優しーい俺がパンを恵んでやったと言って下せェ」
「ふざけんな!消費期限一週間以上前に切れたパンを何食わぬ顔で食わす奴があるか!」
入学式から約一ヶ月。
そろそろ新しいクラスの雰囲気にも馴れてきた。
最近は沖田と、沖田と同じ中学だった土方とつるむことが多い。
今日もいつものように3人で話していると沖田の頭の上にポン、と筒状に丸めたプリントがのせられた。
「…何でぃ?」
「沖田くん、プリント出してないよねー?」
聞こえた声に、鼓動が早くなる。
「旦那ですかぃ。後一日待って下せェ。」
「昨日も言ってなかった?」
「今回はほんとでさァ。」
「怪しいな」
「うるせー土方」
「黙れ多串」
「お前まで!?てか多串じゃねぇ!」
「んなでかい声出さなくても聞こえるわ多串コノヤロー」
「だから多串じゃねエェェ!」
銀八がすぐ近くにいる。
それだけで妙に緊張してしまって顔が直視できない。
自分から言葉を発することなんてもちろんできなくて。
沖田と土方と銀八。
俺は3人が話しているのを黙って見ているだけだった。
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