連載

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教室に戻ってしばらくするとぞろぞろと購買にいたメンバーが帰ってきた。

その中には銀八もいる。

みんなの手にはパックの飲み物が握られていて満足そうな表情。

沖田とパンを食べながら見ていると銀八と土方と神楽が俺たちのほうにやってきた。

銀八の手にはなぜかパックのジュースが二本。


「旦那、みんなに負けたんですかい?」

「いやもうめんどくさかったから全員に買ってやった。あー今月家計大丈夫かな…」


もぐもぐとパンを食べ続ける。

ここで俺喋っちゃいけねぇよな。

銀八が嫌がる。


「旦那ジュース二つってことは…一つは俺のですかい?」

「なわけないネ!これは晋助のアル」

「え、俺…?」


思わず、聞き返した。

だって、銀八が俺に?


「お前自販機の前にいたのにジュース買ってかなかっただろ」


土方の言葉にそうだったと頷く。


「はい」

「あ、ありがと…」


差し出されたパックを受け取る。

あ、いちごミルク…

見上げた銀八の表情はやっぱり無表情だったけど、銀八と自分の手の中のいちごミルクを見比べてちょっと嬉しくなった。

同じ。

昔もよく、くれたよな。

さっき期待しないと決めたばかりなのに勝手に胸が躍る。


ストローを差して吸い上げると、口の中に甘さが広がった。

ああ

懐かしい…味…


ガタンッ


「!!?」


いきなり鳴った机に、ビクリと跳ねる。

見ると、銀八の前の机の場所が大きく動いていた。


「わりぃ、急用思い出したわ」


机の位置を戻す。

俺たちがぼーっと見ている間に足早に去っていく。

すぐにこの場から離れたいとでもいうように。


「そそっかしいネ」

「まったくでぃ」


三人が笑う。

俺もつられて少し笑った。



でも、気持ちは裏腹に。




銀八は、俺が…笑ってたのが気に入らなかったのかな

つい、嬉しくて笑っちまったのが悪かったのかな…

他に原因が思い当たらねぇ。



…確信はないけど、用があるってのは嘘だ、って気がすんだ。

だって銀八の目に微かにだが動揺の色が広がった気がした。


…また期待してしまったから。

それが、いけなかったのかな。




ならば、


もう、今度こそ期待しないから。



だから。


今は、見ていることしかできないけど、


いつか、みんなと同じ生徒の一人としてでもいいから、そばにいることを許してほしい…






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