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「俺と付き合わない?」







ドアを開けた瞬間聞こえた言葉に、動きが止まった。





あの後、高杉と別れた後、教室に戻ってから、俺はずっと考えていた。

俺は何てことをしたんだ、とかもう会わせる顔がない、だとか。

しかもごめん、だけ言い残してあいつ放って帰るとか俺最悪じゃねぇか。

あんなごめんが謝罪になってるわけがねぇし、あんなんで許してもらえるわけがねぇ。

いや、ちゃんと謝ったところで許してもらえるなんて思わないが、あれではお粗末過ぎる。

俺の気だって済まない。

もう一回ちゃんと謝らなければ。

そう思ったもののどう謝っていいものかわからなくて悶々としていたら、自習の時間開いていた参考書は1ページも進まなかった。

休み時間になって屋上に着いてからもなかなかドアを開けることが出来ず、考えもまとまらなくて。

ああでもこんなところでぐずぐず悩んでいたってしょうがない、とりあえず率直に謝ろう、後のことはその時考えようと腹を決めて扉を開けた時だった。




銀八の言葉が聞こえたのは。





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