波瀾万丈

□極悪非道
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「さ、ログもたまったわ。作戦実行よ!」

「よろしくお願いしやっす」

うっす、と気合を入れて頭を下げる。

「んで、俺が…」

いよいよ決行という日。巻き込まれたのはまたもやゾロだった。
こういった星の下に生まれてきてるんじゃなかろうかと思わずにはいられない。
ログが溜まる時間までは船の上で過ごそうと決めた。
島に降りて問題でも起こしてしまったら元も子もない。
だからずっと船の上で大人しくナミの報告を待つつもりだったのだが、島に着いた途端、冒険に行こう、と船長と船医に誘われた。

毎度毎度断ってしまっているせいか、いつにもまして二人はしつこかった。
纏わりついて駄々っ子のように、行こう、行こう、楽しいぞ、とつぶらな瞳で誘う。
うおおおお、と身悶えたのは言うまでもない。
それに事情を知らない長っ鼻にも珍しく熱心に誘われてNOと言えない日本人として心底困り果てた―――ところを助けてくれたのは、何とも珍しく緑頭の剣士だったのだ。

とはいえ、親切心というよりもゾロだけが前の島で飼い犬に間違われていた事を知っているので、多分それを踏まえての助け船だったのだろう。
降ろすとろくなことがない、みたいな。
方向音痴にそう思われているとしたらはなはだ遺憾ではあるが。

ともあれ、そんな助け舟があり、ぶーぶー言いながらも探検組は島へと下りていった。
それを見ていたのか、それとも最初から凶悪な顔つきで選別していただけなのか、―――協力者はゾロとなったのである。

島へ、帰る。

能力者にこの協力は頼めない。
大人しく船に居るのよ、とビシリと指差され、言われるまでもない!と大きく頷いてサニー号の上でそわそわと情報収集をしてくるというナミの帰りを待った。
残念な事に、あの島を通る連絡船も商船も先日出航したばかりだという情報が齎され、最後の手段『海軍の世話になること』に決定した。
前に説明してくれたことをナミがゾロへと話す。
帰りたいのだという気持ちを込めて頭を下げれば、緑頭の剣士は大きく深い溜息をつきながらも頷いてくれた。

「頼んだわよ、ゾロ!」

船の上から声をかけるナミに右手を上げただけのゾロはそのままずんずんと街へと向かい歩きだす。

「ナミ!」

「ん?」

「ありがとう!皆によろしく!」

ぶんぶんと手を振っての挨拶。
確かに無理矢理攫われての乗船だった。
最初は何が起きたのか分からなくてテンパってばかりだったけれど、さすが主人公組。
色々とあったけれど、楽しかった事は事実。

一人ひとりに別れの挨拶が出来なかったという心残りはある。
けれど、自分はどんなことをしてでも帰ると決めたのだ。



ぐっと腰を曲げて深く礼をしてから反転する。
サニー号を振り返らないように心を決めてから、ゾロのたくましい背中を追った。





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