ジャンパー!

□さびしがらせてはいけません
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▼親父さん視点




『すみません。迎えが来るまで……きてくれるのかどうかめちゃくちゃ不安ですけど、それまでお世話になります。ありがとうございます』



違う世界から来た、行くところがない、と途方にくれている姿をみて、ここにいりゃいい、と声を出せば驚いたのは異世界から来た青年ではなく息子達だった。
危ねぇよ親父、何言ってんだ親父、とわあわあとまとわり付いてくる息子達は訳の分からぬ存在に嫌悪と警戒を抱いているらしかった。

それもそのはず。
身動きひとつ―――まるで息子達の彫像が出来たのではないかとこちらが思うほどに全てを奪われた状態にされていたのだからこの存在を受け入れがたいに違いない。
気持ちは分かるのだが、この端正な顔立ちにどことなく世間知らずの甘さを含んだようなハナタレは最初から殺意も殺気も持ち合わせていなかった。

息子達をあんな状態にしても尚、まず始めたのは釈明だ。
間違えた、ごめんなさい、と謝られてしまえば警戒を続けろというのが無理に近い。
責任は俺が取る、と言い出せば可愛い息子達は口酸っぱく気をつけろと主張しながらも突然現れた青年を不承不承『客人』として迎え入れたようだった。






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