長編、シリーズ

□2.理不尽な師匠命令
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 ……どうしてこんなことになった。非常に気まずい状況になった。隣を歩く彼女も同じように感じているのか、無言を貫いていた。
(そもそも、あいつらがあんなことを口にしなければ――)
 特にロビン! さすがの俺でもこの仕打ちは酷過ぎるのではないだろうか。
 俺は現実逃避をする代わりに、昨日の出来事を思い返した。



「わたしの家まで案内してくれませんか、ね?」
 交通事故に遭い、先日目を覚ました彼女――佐倉千冬のこの一言が、事の発端だったような気がする。彼女の言葉に反応した超人は、ふたり。特にひとりは非常に厄介な性格の超人だ。
「千冬さんの家を知っている方はいますか?」
 まず一人目はミート。相変わらず適切な発言をしてくれる。だが彼の問いに首を縦に振る超人は現れなかった。……俺以外は。

「ん? ウォーズマンはご存じなんですか?」
「あ、いや。俺は――」
「ウォーズは千冬と仲が良かったもんな。知ってんだろ?」
「……まあ、何度か行ったことはあるが」
「それではウォーズマンに決定ですね」
「千冬に変なことすんなよー」
 ……。
 勝 手 に 話 を 進 め る な。と言ってやりたかったが、千冬のいる手前、何も言えなかった。あと、バッファローマン。次に会った時は覚えていろよ。

 と、ここで、それまで無言だった「非常に厄介な性格の超人」がようやく口を開いた。
「むしろ一緒に暮らしてやったらどうだ?」
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