少数お題
□恋で終われたら
1ページ/3ページ
「こんにちは、千冬さん」
「こんにちは、ロビンさん! いつものお席、空いていますよ」
月曜日の午後には必ず現れるようになった鉄仮面の超人――ロビンマスク。わたしは彼のファンだった。
初めて店を訪ねた時は、心臓が飛び出るのではないかというくらい、驚いた。夢ではないかと疑ったほどに。
「ご注文は『いつもの』でよろしいですか?」
「ああ、頼むよ」
「ふふっ、ロビンさんもすっかり常連さんですよね」
「千冬さんの淹れる紅茶が美味しいからね。つい通ってしまうんだ」
「そう言っていただけると嬉しいです」
仮面の奥で微笑んでいるのがわかる。時折見せるその表情に、わたしはいつもドキリとした。
(好き、好きです。ロビンさん)
初めて出会った時はもう、運命だと思った。
だって、いつも遠くから見ているだけだったから。間近で見ることができて、その上、こんな風に会話ができるだなんて、夢にも思っていなかったから。
「うむ、やはり千冬さんの淹れた紅茶は、美味しいね」
まさに、天にも昇る思いだった。