pkmn!

□そうじゃなくて
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『ねぇサトシ。』

「…なんだ?」

今日は私の誕生日なんだけど。
…なーんて、簡単に言えたら
苦労はしないのに。


『今日……いや、
やっぱりなんでもない。』

「?、そうか…?」


私は確かに一週間ほど前、

今日が誕生日であることを
彼に言ったのだ。

この様子から察するに、
サトシはきっと
覚えてないんだろうけど。


思えばいつもこう。
バレンタインとか、クリスマスだとか、
一緒にいる年月が長い私達には
何度もイベントというものが
訪れるのだけれど、

その度に

「急にチョコレートなんてくれて、どうしたんだよ」

「なんか今日はやけに町がキラキラしてるなー」

相手がサトシというだけで、
私達はこう……どうも甘い雰囲気にはなれない。


今日だって、ほんとは
朝から二人きりで
過ごしたかったのに、

「あ、シンジ!」

とライバルを見つけたサトシが

朝一で勝負をしかけ、

なんだかんだと口論していたお陰で

半日が経ってしまった。


『サトシ、私達、付き合ってるんだよね?』

「いきなりどうしたんだよ。…そうだぜ、オレ達は付き合ってる。だからいつも一緒にいるんだろ?」


と、少し頬を赤ら

答えたサトシに、

やっぱり気付いてほしいと
心の底から思った。

『サトシ、今日は何の日か、考えてみてよ。』

自分で自分の誕生日を
祝ってもらうのを促すことが、
どれだけ勇気のいることか。

要は、それぐらいサトシに
気付いてほしいのだ。


「今日?…シンジとバトルして、オレが負けた…。」

私の必死な思いも虚しく、
彼はあろうことか先程のバトルの回想を始めた。

『…もっと大切なこと、』

「大切…そうだよな、やっぱりアイツのバトルスタイルは許せない。オレは、もっとポケモンを大切にしなきゃいけないと思うんだ!」


『いや、あの…』




そうじゃなくて。
(バトル>私)
(この鈍感!)

――――――――

続編書くつもりです。
頑張って砂糖投下します(^^;)

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