獣達の短い恋物語
□ゆるぎない瞳
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斬月と刀をまじあわす。
卍解させるにはこの斬月を屈伏状態にさせるしかない。
「………くっ…!!」
でたらめな形の刀の刃を擦り合わす。
―――ギギギッギギ
不快な音が力の強さを物語る。
奥歯を噛み締め、目の前にいる斬月の具象化を睨む。
――キッ…ン
一度離れ体勢を立て直すと再び斬月に立ち向かう。
だが。
大きな爆音が響いた。
思わず動きを止めると今度は声が響き渡る。
「…こんな処に潜って何やってんのかと思ったら…そいつは…てめぇの斬魄刀の本体か?」
大きな音をたてて下に来た。
忘れるはずのない声。
「隠れてコソコソ卍解の修行か…面白そうなことやってんじゃねぇか…」
嘘だろ?
まさか…まさか
この声は――
「俺もまぜろよ」
土煙の中から現れたのは、蛇尾丸を軽々と持ち上げている赤い髪と瞳を持つ死神。
「――――…!!恋次…!!!」
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