獣達の長い恋物語
□愛したのは C話
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一護達が出ていったドアを見つめるルキアと織姫。
「朽木さん…今の恋次くんが言った言葉って…」
「え?レンジって誰?」
織姫の言葉に千鶴が疑問に頭を傾げる。
「なんでもありませんわ、では井上さん達ごきげんよう」
ニッコリと笑ってスカートの両端を軽く持ち上げて会釈をした。
これ以上有無を言わせない雰囲気を醸しだしながら。
「…ご、ごきげんよう…」
千鶴が負けて、苦笑いのまま言葉を返す。
織姫は今にも泣きそうな顔だ。
そんな二人に笑顔を見せながら鞄を持ち、一護達が出て行った教室を出ていく。
「フゥ……そうか…」
誰もいなくなった廊下を歩きながら恋次の言葉を理解する。
恋次の言葉は本当だろう。
しかも違う奴と寝たと言ったのもただ単に恋人への報告ではない。
その人物を好きになったということだ。
あの言葉には続きがある。
『お前以外の奴と寝たから…お前は俺を捨てていいんだ』
犠牲は自分だけでいい。
お前は浮気した男をみかねてフッた女ってだけ。
そういう意味。
「あやつらしいと言えばそうかもしれないな…」
恋次の考えが浅はかに思えて、思わず笑った。
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