獣達の長い恋物語

□愛したのは C話
1ページ/19ページ


一護達が出ていったドアを見つめるルキアと織姫。

「朽木さん…今の恋次くんが言った言葉って…」

「え?レンジって誰?」

織姫の言葉に千鶴が疑問に頭を傾げる。

「なんでもありませんわ、では井上さん達ごきげんよう」

ニッコリと笑ってスカートの両端を軽く持ち上げて会釈をした。

これ以上有無を言わせない雰囲気を醸しだしながら。

「…ご、ごきげんよう…」

千鶴が負けて、苦笑いのまま言葉を返す。

織姫は今にも泣きそうな顔だ。

そんな二人に笑顔を見せながら鞄を持ち、一護達が出て行った教室を出ていく。

「フゥ……そうか…」

誰もいなくなった廊下を歩きながら恋次の言葉を理解する。

恋次の言葉は本当だろう。

しかも違う奴と寝たと言ったのもただ単に恋人への報告ではない。

その人物を好きになったということだ。

あの言葉には続きがある。

『お前以外の奴と寝たから…お前は俺を捨てていいんだ』

犠牲は自分だけでいい。

お前は浮気した男をみかねてフッた女ってだけ。

そういう意味。

「あやつらしいと言えばそうかもしれないな…」


恋次の考えが浅はかに思えて、思わず笑った。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ