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□雨と七夕と二人
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サアァァ…

雨、雨、雨


「どーした?」

電気も付けず窓を開けて外を眺めていたら頭に重みを感じた。

『…エド』



彼は私の隣に来て同じように外を見た。

「元気ねーじゃん、どーしたんだよ?」


私の目を向けてたずねた。


『……雨。』


「雨?…あぁすげー雨だな。折角の七夕なのによ。」

『折角飾り付けしたのに』


飾ってある笹をチラッと見る。


「ほんとだよなー。」


もうすぐ21時。
当然外は暗い。
空も暗い。




『……今年は会えないんだね。』

ポソリと誰にも聞こえないような声で呟いた。

でも彼は気づいた。


「はぁる」


彼は腕を広げた。

ノロノロと彼におさまる私。

抱きしめられてなぜか安心する。


あ、泣きそう。



「オレなら無理矢理にでも会いにいくけどなー」


『エド?』


「てか一年に一度ってのもムリだな。
愛してるやつになら毎日でも会いたいし近くにいたい。」


彼の腕に力が入った。



「オレはなにがなんでも離さない。」


彼の金の瞳と重なった。
それから綺麗な本当に綺麗な貴方の笑顔。



『…うん、ありがとう』



涙声で呟くとまた腕に力が入った。



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