テニプリ童話劇場
□シンデレラ〜氷帝編〜
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「じゃあ、行って来るからな。
ちゃんと風呂、沸かしとけよ」
「はい、わかりました・・・」
迎えの馬車に乗り、お城へと向うまま母と姉二人を見送るシンデレラの瞳には、涙が光っていました。
「どうして、どうしてお義母様は私を連れて行ってくれないの?
私も行きたいのに・・・」
そう言いながら、残された洗いものを済ませる為にキッチンへ向かったシンデレラ。
ですが、そこには見慣れないぬれ煎餅が・・・。
「あれ、私こんなところにぬれ煎餅なんて置いたっけ?
・・・まぁいっか、一枚もらおっと」
丁度お腹も空いてたし。そう思い置いてあったぬれ煎餅を一枚手に取り、食べようと口を開けたシンデレラ。すると・・・
「ちょっと待ってください、それは俺の食べようと思っていたぬれ煎餅です!」
なんと、目の前に見たことも無い真っ黒なローブと典型的な魔法使いの被っている帽子を身に纏い、そして魔法のきのこステッキを持った魔法使いが・・・「待ってください滝さん、俺はローブと帽子はあっていますが、きのこのついたステッキなんて持っていません」
あ、ごめん日吉、ちょっとしたユーモアだよ。
「全く、活字だから絵が見えないのを良いことに・・・もうやらないでください」
はいはい、わかったよ。
えー・・・、なんと、目の前に見たことも無い真っ黒なローブと典型的な魔法使いの被っている帽子を身に纏い、そして魔法のステッキを持った魔法使いが居るではありませんか。
シンデレラは呆気にとられてしまいました。
「あ、貴方は誰ですか?」
少し怖がりながら尋ねるシンデレラ。
「怖がる必要はありませんよ、俺は魔法使いです。
貴女はお城で行われるパーティーに行きたいけど行けなかった。そうでしょう?」
「え、ええ、まぁ・・・で、それと貴方と何の関係が?」
「・・・人の話聞いてました?
俺は魔法使い、そして貴女は舞踏会に行きたくても行けない。
ということは、答えは一つしか無いでしょう」
「あ・・・」
もしかして、そうつぶやくシンデレラ。
「私を、お城の舞踏会に?」
「ええ、そうです」
「でも・・・私はお姉様方の様に綺麗なドレスなんて一着も・・・」
「はぁ・・・本当に鈍感な人だな」
ひょいっとステッキを一振りする魔法使いキノk・・・こほん、魔法使い日吉。
すると、シンデレラのぼろはみるみるうちに、まるで宝石が散りばめられているかの様にキラキラと光輝く美しい水色のドレスに変わっていき、そして、靴はガラスで出来た靴に変わりました。
「え・・・えええっ!?」
驚くシンデレラ。そして、ドヤ顔の魔法使い日吉。
「あぁ、あとそこのカボチャと・・・」
ひょいっ、ぼんっ
「そこで見てるねずみ・・・おい、逃げるな!」
ひょいひょいっ、ぼんっ
「馬車とあと運転手。
これで舞踏会に行けますよ」
「・・・すごい、ありがとうっ!」
心の底から喜ぶシンデレラ。
急いで馬車に乗り込みます。
「あ、それと、俺のかけたこの魔法は夜の12時・・・日付が変わる時に解けます。
なので、12時を知らせる城の鐘が鳴り終わるまでには帰って来てくださいね!」
「うん、わかったよ、ありがとう若っ!!」
お城へ向けて走り去る馬車を見送る魔法使い日吉。
「・・・全く、最後の最後で俺のこと『若』なんていつも通り呼んで・・・。
本当に、詰めが甘い人だ」
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