長編

□君と俺とが歩く道 1
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俺が彼女のことを知ったのは、中1の5月のある晴れた日。
部活帰りの、岳人の何気ない一言やった。

「なぁ侑士、中澤優恵って知ってるか?」
「え、知らんけど・・・誰やその子」
「とにかくすっげえんだよ!なぁジロー!」
「あぁ、優恵ちゃん?
うんうん、すっごいCー!」

なんや、岳人とジローが騒ぎだしたわ。
すっごいすっごいばっか言うて・・・なにがすっごいんか全然わからへん。

「な、なにがすっごいんや?」

俺がそう訊くと、岳人がテンションをものごっつ上げながらこう言うてきた。

「まずな、俺とジローと宍戸は幼稚舎の頃からの友達なんだよ」
「おん、そいで?」
「でな、昔からすっげえ芯の強ぇ女子でな?今跡部と同じクラスなんだよ」
「それとすっごいの、どう関係があるん?」

跡部と同じクラスですっごい言うたら、跡部に群がらない、とかか?

俺がそう言うと、岳人がふっふっふ・・・と怪しい笑いを浮かべる。

「そいつはな・・・あt「跡部に普通に逆らうCー!」ちょっ、ジロー被せんな!」

俺は自分の耳を疑った。

「・・・は?
岳人、もっかい言うてくれへん?」
「え?あぁ、だから、跡部に普通に逆らう・・・っつーか、口答えすんだよ」
「あの跡部にか?」
「おう、こないだも跡部と口喧嘩したらしいぜ?」

・・・まじか。
まさか跡部に口答え出来る女子がいたとはなぁ・・・。

「・・・面白そうやんか。」

俺はそんなに女子に興味を示す方やない。
せやけど、なんでやろな?
こん時は、顔も見たことないその子のことが気になって気になってしゃーなかったんや。


中澤優恵ちゃんかぁ・・・どんな子なんやろ。
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