長編

□君と俺とが歩く道 3
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俺の通っとる氷帝学園は、言わずと知れた超マンモス校や。

せやさかい、昼休みはちょっとした戦争になる。

まぁ、跡部がこの学園に入学して学食を超豪華にしたり広くしたりしたお陰で、昔よりは大分マシになったらしいねんけど、やっぱりまだまだ解消しきれてへんのや。

まず学食。
これはさっきも言うた通り、広い上に豪華やから、けっこう人が入る。
割とリーズナブルなものもあるし、弁当の奴もここで食うたりして中々賑やかや。

次に中庭。
ここは主に弁当派が集まる場所や。
教室で食うよりも、こっちの方がええっちゅー女子が多いな。

で、教室で食う組が居る。

俺は基本教室組やけど、時々屋上にも行く。
弁当持って屋上行って、風にあたりながら食う。
土の上よりコンクリートの上におった方が落ち着くしな。


そうなんやけど。

今日、俺は最悪の事態に陥ってしもたんや。
なんやと思う?


・・・弁当、忘れたんや。

しゃーないわ、朝寝坊したんやもん。
・・・ん、誰や、今子供っぽいとか言うたの。

仕方なく、俺は購買に行くことにした。


購買・・・恐らく、ここが一番の激戦区や。
俺が弁当派なのにも、そこに訳がある。

基本的に人ごみとかそういうんが好きやない俺は、その中に飛び込むのが嫌やっちゅー気持ちがある。
めんどくさいやん、人ごみ。

購買なんて1年の時・・・初めて優恵ちゃんに会うた時に行ったっきりやな。
あんときもたまたま弁当忘れて岳人に連れてこられたんやけど、ちょうど学食が派手んなってみんなそっちに行っとったから購買は空いてたんや。
今はものごっつ混んどるから行かへんだけで、多分空いとったら別に引け目を感じることもないんやけどな。

まぁ、もちろんマンモス校やから昼飯分のパンとかが手に入らんなんてことは絶対にない(って跡部が自信満々に言うとった)けど、そうとわかっとってもやっぱり中々行きづらい。

せやけど、人間空腹には勝てへん。

4時限目の終わりを告げるチャイムが鳴るとほぼ同時に教室を出て購買へ急ぐ。

廊下走ったら怒られるでな、出来るだけの早足。
すっごいスピードやけど、これは走ってへんよ。競歩や、競歩。足浮いてへんやろ。

廊下を競歩しながら進むこと数分。
購買に着いたはええけど、そこは最早戦場と化しとった。

あっかん・・・これは早うせんと。

俺はちょっと息を止めながら人ごみん中に入り込んだ。

いくら周りよりも長身の俺とはいえ、人ごみに流されそうやった。
もう、松任谷由実ばりや。

それでもやっぱり長身なんが功を奏したんやな。割とすぐに最前列に出た。

俺はコロッケパンと焼きそばパン、それプラス自販機でコーヒーを買うた。

おん、中々えぇ感じやったな。

俺がそう思っとると、視界の端っこに人ごみに完璧流されとる小さい女の子の影が見えた。


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