長編

□俺と君とが歩く道 4
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こんにちは、中澤優恵です。

私達が3年になってから、もうすぐ一ヶ月が過ぎようとしています。

氷帝学園の中等部では、毎年5月に遠足があります。

全学年が合同で、遠足とは言っても、動物園か美術館か水族館に行って、何か新しいことを学ぶみたいな、そんな内容。

まぁ、そういうところに行って学ぶことなんてほとんどないから、みんな遊び半分なんだけどね。

あと、なんでこんなマンモス校のものすごい数の生徒が、そんなところにいけるかと言うと、皆さんお察しの通り、我らが跡部のお力だそうです。

「それぐらいの人数を入れられないようじゃキングの名が廃る」

なんだそうな。

毎年行けるところはさっき言った3つだけど、私はちょっと悩んでいました。

「ねぇ詩織ー」
「ん、何優恵」
「今度の遠足、どこに行けば良いかなぁ?」
「遠足?・・・あー、そういえば優恵、動物園苦手だったよね」
「うん・・・でも、水族館も美術館も行っちゃったし、このままでいけば動物園なんだけどね・・・」

ああーとかいいながら机に突っ伏す。
そういえば今日じゃん、希望出すの・・・。

「優恵ちゃん、どないしてん、そないに浮かん顔して」
「お、出たな胡散臭い伊達眼鏡」
「詩織ちゃん、その言い方はちょっと酷いのとちゃうん?」
「あ、忍足・・・」

詩織の忍足への風当たりは何故か強い。

好きとかじゃないみたいで、詩織曰く「なんかいけすかないんだよね、あの伊達眼鏡が」なんだって。

「いや、今度の遠足、どこに行こうか迷っててさぁ」
「え、それって行ってないとこに行けばええのとちゃうん?」
「それが優恵、動物園が苦手なのよ。だからこうぐってりしてるってわけ」
「そうなんか・・・」

うーんとか言いながら腕を組む忍足。
あ、こういうことしてるから胡散臭いとか言われるのかも。

「俺な、無理して自分の行きたないとこに行かなくてもええと思うねん。
せやから、今年は俺と一緒に水族館でも行かへんか?」

忍足からのお誘い。

ちょっとクラスの子達の視線が痛いけど、やっぱり誘ってくれた忍足の為にもここはOKしたいところ。
個人的に水族館大好きってのもあるけど。

「うん、いいよっ、そうする」
「ほんま?なんや優恵ちゃんにそういわれると嬉しいわぁ」
「またまたそんなこと言っちゃってー。
どんな子に言われても嬉しいんでしょ?」
「いやいや、優恵ちゃんだから嬉しいねんで?」
「嘘ばっか・・・」

そう言って流したけど、ちょっと嬉しかったのは秘密。

だって忍足に言われたんだよ?

一応氷帝学園内での人気No.2だし、当たり前だけどかっこいいし・・・あんまりそこは意識したことなかったけど。

初めて会ったときも、かっこいいーとかそういう感情はなかったしなぁ。

そう思いはじめたのはごく最近だし、別に忍足に対して恋心が芽生えてるとかそういうのでもない・・・・だろうし。多分。

でもやっぱり嬉しくて、ちょっと顔が赤くなった気がする。

忍足は教室の外で岳人達に呼ばれてどっかいったから見られてないけど、詩織にはばっちりみられた。

恥ずかしいけど、今のうちに希望用紙に「水族館」って書いちゃおっと。


楽しみだなぁ、水族館。
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