長編

□俺と君とが歩く道 5
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「ほい、卵焼き」
「あ、ありがとー忍足っ」

俺の渡した卵焼きを美味そうに食う優恵ちゃん。

「わ、めっちゃ美味しい。
忍足、将来良いお嫁さんになれるね」
「男やから旦那さんやろ」
「ナイスツッコミ」
「で、美味いんか?優恵ちゃん、甘いの好きやと思とったんやけど」
「うん、甘いの好きだし、すごく美味しいってのはほんと!
ね、今度作り方教えて?」
「うーん、俺は基本的に料理は目見当やからな・・・今回がたまたま当たりやったっちゅーことやな」
「お、なんか得した気分?
ラッキーっ」
「あとは唐揚げも美味いけど、ミートボールもあんで」
「忍足お手製?」
「当たり前やがな」
「じゃあ、遠慮なく〜」

にこにこ笑顔の優恵ちゃん。
早起きして作ってきた甲斐があったなぁ・・・。
今度は普通の登校日も弁当自分で作ってみよ。

「そうそう、クッキー焼いてきたんだけどみんな食べる?」
「おっ、俺食うー!」
「俺も俺も、優恵ちゃんのクッキー食べたいCーっ!」

うちの食いしん坊ツートップが早速食いつきやがったで(因みに、言うまでもなく岳人とジローやで)。

「じゃあ、お弁当食べ終わったら食べようね」
「やった、俺早く食べちゃお〜っ」
「ジロー、あんまり急いで食べると喉詰まりしちゃうよ?」
「らいひょーぶらよふぁひ(大丈夫だよ滝)・・・ごふっ、ごほっ」

全然大丈夫やないやんけ。

「ほらほら、お茶飲んで」
「んぐ・・・っぷはー!滝、助かったC〜」

滝はオカンか。

「おうお前ら、楽しそうにやってんじゃねーの、アーン?」
「跡部、今来たのかよ、遅ぇぞ!」
「煩ぇな宍戸、俺にも生徒会長の仕事があるんだよ」
「あ、樺地も今来たの?」
「ウス」
「あとべあとべ、優恵ちゃんがクッキー焼いて来てくれたから、一緒に食べよう!」
「そう焦るなジロー、クッキーは逃げねぇぜ?」
「とは言っても、早く食べたいよな・・・」
「俺、一枚頂きます」
「あっ、日吉ずるいC〜っ!!
俺も一枚!」
「負けてられっかよ、俺もだ!!」
「ああーっ、私が焼いて来たんだから、私も食べたいっ!」

食いしん坊共のバトルロワイアルが開始してもうた・・・
あーあ、暫く収集つかへんな、こりゃ。
しかも日吉まで参戦て・・・どんだけやねん。

「おい忍足、どうにかしやがれ」
「宍戸、お前阿呆ちゃうか。
あんなん止められる訳あるかいな」
「じゃあ滝・・・」
「俺も無理だよ」
「即答するなよ!!」
「にしても、日吉が参戦するとはなぁ・・・珍しいじゃねーの」
「そうやな・・・って、あかん、せっかくの優恵ちゃん手作りクッキー、このままやったら食えず仕舞いや」

俺も一枚もらうか。

・・・お、けっこう美味いやん。

「優恵ちゃん」
「ん?・・・っ、何?忍足」
「随分飲み込むのに時間食うとったな。どんだけ詰め込んでんねん自分」
「い、いいじゃん別にっ」
「まぁええか。あぁ、クッキーめっちゃ美味いな、惚れ直したで」
「ほ、惚れ・・・じょっ、冗談言う人にはクッキー抜きだよ!!」

顔真っ赤にして反論する優恵ちゃん。

惚れ直したんはけっこう本気やってんけど、いつ見てもおもろいわ〜・・・ぷぷっ。

「あー、じゃあ俺ももう卵焼き作ってやらへん」
「ぅあ、それは駄目・・・」
「せやったら、クッキーもう一枚頂きな」
「あっ、私の分っ!!」

優恵ちゃんが取ろうとしとったクッキーを横取りしてみる。

わー、めっさ慌てとるでこの子。
俺が食べるふりしたら「あ、あ〜・・・」って。
・・・なんや、ごっつかわええけど悪いことしとる気分やな。

俺にクッキー取られてしょんぼりしとる優恵ちゃんの名前を呼ぶ。

「何、おした・・・むぐっ」
「そんな悲しそうな目されたら敵わんわ、っちゅーことで、俺からのプレゼント。
どや、美味いか?」

油断しきっとった優恵ちゃんのちっちゃい口に、俺の持ってたクッキーを入れてやる。
まぁ、元々そのつもりやってんけどな。

「う、ん・・・っ」

あらら、そっぽ向いてしもた。
ちょーっと刺激が強すぎたんかなぁ?

「・・・忍足さん」
「うわっ、・・・なんや日吉か、脅かすなや」
「そっちが勝手に驚いんでしょう。
と言うか、何一人で抜けがけしてるんですか、反則ですよ」
「恋愛に反則も何もあらへんよ日吉くん、たまたま優恵ちゃんがクッキー食べたそうな顔しとったから、俺が食べさせてやっただけや」
「日吉くんとか気持ち悪いです」
「このっ、ホンマに可愛げないわこいつ・・・」
「フンっ、余計なお世話ですよ」

暫く日吉と睨み合っとったら、何時の間にかクッキーがぜーんぶ無くなっとった。
ほぼジローが食ったんやって。
よくもまぁこんだけ食って寝てとるのに太らんなぁこいつは。

「よし、全員食い終わったな」
「うん、で、どうするの跡部?これから私達と一緒に行動する?」
「そうだな・・・もう仕事もねぇし、俺も着いて行くか」
「ほな、行こか・・・」
「あ、ちょっと待って」
「なんだ萩之介」
「あのさー・・・」

滝が怪しげな笑いを浮かべる。
し・か・も、俺の方ピンポイントで見てやで。

・・・あかん、嫌な予感しかせぇへん。


「ちょっと、この中でグループ分けしない?」



的中。
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