長編

□俺と君とが歩く道 9
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そして一時間後。


「おっきい学校だね…」
「うちも充分でかいだろ」
「いや、なんかこう、うちよりも歴史がありそう」
「氷帝は建て替えもしとるからな」
「とりあえず、入校許可証もらってくるか」


ちょっと待ってろと言い残した跡部は、ごっつたっかそうな革靴の底をコツコツ鳴らしながら警備員さんのところへ向かい、数十秒話してから俺らのところに戻ってきた。


「おら、入校許可証だ。首にかけとけ」
「ありがと!」
「ん、わかった」


先ほどの警備員さんに軽く会釈しつつ、校地内に足を踏み入れる。


「しっかし立派なガッコやな」
「緑多いねー」
「…緑増やすか」
「い、いや、ウチは今のままでええと思うで」

つか、氷帝ほど豪華なとこは日本中探しても二つとあらんと思うんは俺だけやろか。


「テニスコートは…こっち?」
「多分な、看板あるだろ」


立海か…

今んとこ、全国でいっちゃん強い。

今は部長が不在とはいえ、皇帝・真田弦一郎をはじめとした強者が集っとる。

しかも、


「なんや噂によると、骨のある二年がおるらしいやんか」
「あぁ、噂でしか聞いたことないけどな…
今回来たのは練習試合の話をするためだけじゃねぇ。そいつを含めて、チーム全体の普段の状態を見る為でもある」
「カメラとノートはちゃんとあるよ」
「おう、すまねぇな」


遠くから、ラリーらしき打球音が聞こえる。
どうやらテニスコートはすぐそこらしい。


「あ、あの人マネージャーさんかな」
「ん?」
「ほら、あそこのカゴ持ってる人。カゴの中にドリンクボトル入ってる」
「ほんまや」
「すいませーん!!テニスコートってどっちですかー!!」


優恵ちゃんに突然呼び止められた女の子は一度周りを見渡して自分しか対象がいないことを確認すると、少し驚いたような顔をしつつ、右を指さした。


「ありがとう!…ね、あなたってテニス部のマネージャーさん?」

立海テニス部のマネージャー(らしき人)に駆け寄っていく優恵ちゃん。
社交的すぎやろ。

「…私は、助っ人。
もしかして、氷帝の人?」
「うん、練習試合の事で話があって」
「そう。今はみんなコートで練習してるから自由に声かけて」
「そうなんだ、ありがと!」


こっちだって!と俺たちを手招きする。


「今行くから待っとってー」


「本物の跡部景吾と忍足侑士だ…」
「なんか言ったか」
「え!?い、いや、なんにも」


慌てたようにドリンクボトルを洗い始めたマネージャーさん(助っ人)。

…一瞬名前が呼ばれた気ぃしたんやけど…まあええか。
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