とある魔術の禁書目録

□1話
1ページ/2ページ

とある日

怪我をした覚え、病気になった覚えもない私が何故か壁や物までもが真っ白な病室を思わせるような部屋で

これまた真っ白なベットに横たわっていた


腕にはいくつものホースが繋がれており
ホースの先は何やら機械に繋がれていた



記憶はある
前日は家族と休日を過ごし
普通にベットに入った


しかし、自分の腕を見る限り
昨日今日ここに来たわけではないことが分かる


何かの病気かと疑うくらいに白い腕には今刺さっているホースの針とは別に
数えきれないほどの針の跡が刻まれていた

変色してしまっているところもある
痛々しくて思わず目をそらす



ここがどこなのか分からない
病院にしても、その他の施設にしても
やけに静かで
私以外の人間が居るのか疑いたくなるほどに





部屋を出て、いろいろ見てみたいのだが
繋がれているホースは外していいものなのか悩む


どのみちここに居ても仕方がないと結論付け
部屋を出ると





視界が赤く変わる




けたたましいほどのサイレンと白い壁にこびりつく赤



人間の血液だろうかとまだ覚醒しきっていない頭で考える



どうやら襲撃されているのだと分かった









「デュアルスキル!」



女性の声が飛んだ
デュアルスキルといったい・・・




「君の事よ、目が覚めたのね。良かった、今回のは脳に負担がかかり過ぎてしまったから、もう目が覚めないかと思った」


なんだか物騒なことを軽く言われてしまった


「いい、良く聞いて」



女性の声が真剣なものへと変わる




「あなたはここから逃げなさい。ここはもう終わり、すぐに警備員(アンチスキル)も到着するはずよ、その人たちにも会っちゃだめよ。あなたは一人で生きるのよ。コレ、あなたに関するデータよ。落ち着いたら一人で見なさい」



早口でまくしたてる



「いい、今のあなたは一方通行(アクセラレータ)のデータが入っているの。つまりあなたに攻撃は当たらない。ここから逃げるのも簡単なはずよ。あとこれは瞬間移動(テレポート)のデータ、あなたのオリジナルのデータだから、一応渡しておくわ」



それだけ言うと女性は走りだそうとする

女性の着ている白衣をつかみ引きとめる





「あなたはどうするの」


「ここにはあなたみたいな子が沢山いるの。その子たちを少しでも多く逃がさないと」




こんな状況じゃ生き残ってる子が居るとは思わないけど

なんて悲しげに笑った





「ほかの子たちは警備員に保護して貰えれば何とかなるは、君は逃げないと」


「すぐに警備員が来るなら、あなたが今から助けに行ったところで大した差は無いでしょ、ならあなたも逃げるべきだわ」



そう、この女性は見るからにここの研究員
警備員に見つかれば逮捕されるだろう

それならまだしも、ここを襲撃している奴らに見つかれば殺される


その辺に大量にある死体は全て白衣を着た研究者たちの者だ





「アナタはやっぱり優しい子ね。でも大丈夫よ。私はあの子たちを置いて逃げない。あの子たちがここで死ぬのなら私も死ぬの。それが、あの子たちを救えない私の償い」


「違うわ、それは逃げてるだけ。あの子たちを救えないなら私を救って」




ここを襲撃してきた奴らの狙いは能力者だ

ここで実験に使われている子供たちを攫う事

まだ残っているとは思えない
他の研究員も


奴らもそろそろ引き上げの準備をしているだろう




「私は記憶がない。土地勘も無い。あなたに頼らないと外には出れない。一旦逃げないと、救える命も救えない」



「・・・そうね。行きましょう」




そして二人は脱出した
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ