立海大家族

□手紙
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3月4日。真田家は毎年ちょっとした騒ぎです。

夜。in蓮二'sルームには真田家の男が集まっていた。母は調理中。調理中には何人たりともキッチンのあるリビングに入ることは許されない。
「雅治。明日は早く帰ってこいよ」
「プリッ。わかってるぜよ。兄貴、心配し過ぎじゃ」
「去年遅れたのは誰でしたっけね」
「ヒロ!それは禁句じゃ」
「そう言えば兄さんは何をあげるんですか?」
雅治を華麗にスルーする比呂士。
「ん?あぁ。百合の球根だが?あと詩集だ」
「へぇ」
「そう言うお前らは何をあげるんだ。」
「聞いたら驚くぜよ?ヒロと共同で手編みのカーディガンじゃ」
「いんじゃね?ま、俺はモチロンケーキだよぃ」
「いいよなブン兄はそれでよ。俺はネックレスだぜ」

そこに一人の訪問者が。
「お、親父。今日は早いのぅ」
「うむ。久しぶりに残業がなくてな」
「今、明日母さんに何渡すか話していたんですよ?」
「父さんは何をあげるんだよぃ」
「俺か?いや…ゆ、指輪だが?」
「ヒュー。父さんも隅に置けないぜ」
囃し立てるジャッカル。
「やめんか!」

「ねぇ、蓮兄。」
「なんだ赤也。」
「あのさ」
「ん?なんだ。言ってみろ」

「明日ってなんかあんの?」





赤也の発言に蓮二を始め騒いでいた父も皆固まった。

「え?どうしたの?何かあんの?」
「赤也。それは本気か?」
「うん」
「ホントにわからないのかよぃ」
「うん」
「…」
「何だよ!親父!教えてよ!」
「赤也。明日3月5日はな?」
「うん」
「精市。つまりおまえの母の誕生日だ」
「!忘れてた…俺なんも」
「赤也。精市はなんでも喜んでくれると思うぞ。俺が昔忘れた時、苦し紛れで接吻しただけで喜んでいた。…今は許されないがな」
「…父さんも可哀想ですね」
「ヒロ…禁句じゃ」
「とにかく。何か考えておけ」


母ちゃんが喜ぶもの?やっぱり物がいいのかなぁ…俺料理できねぇし、編み物も。お金もねぇし…
どうしよう…



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