短編
□A Spring Day
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ーー春の陽も麗らかな四月。真選組屯所内の縁側では、今まさに一人の男が惰眠を貪ろうとしている。
男の名は坂田銀時。真選組副長の片割れだ。隊士達からは局長の近藤並に慕われており、「旦那」と呼ばれている。
「旦那、お隣り失礼しやすぜぃ」
「あ、総悟じゃん。何、サボり?」
「旦那もでしょう?」
沖田の問い掛けに、にへらっと笑い、「まぁね〜」と返す。その直後に近くを通った山崎に甘味を頼んでいた。
「旦那…、副長に怒られますよ?サボるわ、甘味は食べるわで。」
「いいのいいの、俺午後から非番だし、秘技もあるからさッ(笑)」
含みのある笑顔で銀時が言うと、山崎は頭上に?を浮かべつつ団子を持ってきた。
「土方さん、旦那のことになると甘いですからねィ」
沖田がニヤニヤと言葉を放つと銀時は「そお?」と首を傾げ団子を口にした。いまいち甘やかされていることを理解していないらしい。言い忘れていたが、銀時と土方は真選組内公認のバカップルである。
「やっぱ甘味は正義だよね、うんうん。」
「ホントに甘いものお好きですねィ。………さて、俺はそろそろ行きまさァ。」
沖田が立ち上がって歩きだし、山崎もそれに着いて行く。甘味を食べてご機嫌な銀時はニコニコとそれを見送る。
「見回り?行ってらっしゃーい。」
銀時はゆっくりと団子を食べると、最後の一本と"あるもの"を残し、眠りに落ちた。