短編
□スイートケーキ
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「毎回ありがとう」
「いや、また何かあったら呼んでくれや。」
ここは、よく依頼をしてくる金持ちの老婦人の家。今日の依頼を済ませ、帰ろうとした瞬間に呼び止められる。
「ねえねえ、銀さん」
これあげるわ、と差し出されたのは俺の好きなケーキ屋のケーキ無料券だった。はやる心を抑え、老婦人に聞き返す。
「いいのか?」
「ええ、もちろん。ただし期限が今日までなのよ。だから、恋人の方とでも食べてちょうだい。」
「はあ!?何でンな急に……」
「あら、いないの?私、てっきりいるものだと思ってたわ。今日だって、いつもはもう少しのんびりなのに、あっという間に依頼終わらせたから、恋人の方と会う約束でもしてるのかと」
何で見破ってんだこの婆さん……
そんなことを思ってたら顔に出てたらしく、「女の勘よ」とウインク付きで言われた。
「はぁ…。まぁ、サンキュー。ありがたく受け取っとくぜ」
「ええ、どうぞ。恋人の方にもよろしくね」
「あぁ。んじゃあまた。」