短編

□スイートケーキ
1ページ/3ページ






「毎回ありがとう」


「いや、また何かあったら呼んでくれや。」



ここは、よく依頼をしてくる金持ちの老婦人の家。今日の依頼を済ませ、帰ろうとした瞬間に呼び止められる。



「ねえねえ、銀さん」



これあげるわ、と差し出されたのは俺の好きなケーキ屋のケーキ無料券だった。はやる心を抑え、老婦人に聞き返す。



「いいのか?」


「ええ、もちろん。ただし期限が今日までなのよ。だから、恋人の方とでも食べてちょうだい。」


「はあ!?何でンな急に……」


「あら、いないの?私、てっきりいるものだと思ってたわ。今日だって、いつもはもう少しのんびりなのに、あっという間に依頼終わらせたから、恋人の方と会う約束でもしてるのかと」



何で見破ってんだこの婆さん……

そんなことを思ってたら顔に出てたらしく、「女の勘よ」とウインク付きで言われた。



「はぁ…。まぁ、サンキュー。ありがたく受け取っとくぜ」


「ええ、どうぞ。恋人の方にもよろしくね」


「あぁ。んじゃあまた。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ