短編

□信じてたのに
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少し遠いところから依頼が来て、新八や神楽を連れてく訳にはいかなかったから、俺一人で行って、家を空けた一週間ちょい。


それだけ、だったのに。


戻って来たら、あいつらの隣には坂田金時なる、俺とは似ても似つかない奴が立っていて。

そんな奴に新八と神楽は心底懐いていた。
まるで端っからあいつと万事屋をやってきていたかのように。



しばらくしてたまから真相を聞いた。
坂田金時は、俺がいない間に新八達が源外のじーさんに作らせた、坂田銀時の"代わり"だと。しかし、あまりにも完璧すぎたため金時自体が俺となってしまったこと。

要するに、最初っから此処にいたのは坂田銀時ではなく、坂田金時だったって洗脳されてるって訳だ。



落ちた猿飛を俺が追いかけて一緒に落ちた時、二人と定春が受け止めてくれた。


思い出してくれたと思った。

やっと、俺という存在を認識してくれたのだと。


だからこそ、その後に続いた子供故の純粋な言葉に俺は耐え切れなかったんだ。






「先生、ごめんなさい…俺、もうダメみたいだ…」




逃げて来た俺は気づいたら塾の前にいた。江戸からここまで。長い距離をどうやってたどり着いたのかなんて覚えてない。




「あいつらならどうにかなるんじゃないかって思ってたんだけどな……どうにかなるって何?それすらわかんなくなっちまった。」


「やっと見つけられたと思ったのに…先生とか晋助とか小太郎とか辰馬以外の家族ってもんをさ…」


「やっぱ俺には先生と三人しかいねーんだよ……」



そこまで言った俺は真剣を取り出す。懐に常備していたものだ。先生に会いたい。その一心で刀を振り上げた。



ガキンッ




「何するんだ……っ…」
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