狂桜鬼伝 参

□誠の大将
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慶応四年四月
下総流山にて



五兵衛新田で新入隊士を募り二百名近い大所帯となった新撰組は四月二日に下総山へ陣を移した


斎藤は五兵衛新田から市川に向かい、
新兵達に新式兵装の訓練をさせていた。



『・・・って言っても・・
何で、私が同行したらいけねぇんだよ!』



千鶴「あははは、百合ちゃんまだ言ってる・・」


近藤「あれで、十回目だな・・・」


近藤さんにお茶を出しに行くという千鶴に
同行して私も近藤さんの元で愚痴をこぼしていた。


千鶴「しょうがないよ、百合ちゃん。
訓練って言っても本当に大砲とか撃ったりするらしいから・・」


近藤「ははは、そうだな。
きっと斎藤君も歳も君を危険な目に合わせないためだと思うぞ。」



『・・・それは、わかってるけど・・』


・・・斎藤は羅刹なのに・・
こんな昼間っから・・・、それに羅刹の症状だって・・


『・・・・いつ来るか、わかんねぇのに・・』



・・・・ほっとけるかよ・・




・・まっ今は‘最後のとき‘を一緒に過ごしたいと
思ってる方が強いけどな・・



私はそう言って近藤さんを見た。


近藤「ん?何かね?九条君?
私の顔に何か書いてあるのか?」



『・・・別に、只近藤さんの顔をm「近藤さん、いるか?!」



私の声を遮り階段を上がってくる土方と島田さん。


・・・・いよいよか・・・


私はそう思って格子の外を見た。



近藤「どうしたんだ、歳?」



土方「三人とも逃げる準備をしてくれ!」



土方の声は切羽詰っているようだった。



千鶴「どうしたんですか?」



土方「二、三百の敵に囲まれてる。
今からじゃ、斎藤を呼びに行く時間もねぇ。
ここは俺が何とかするから三人は先に逃げてくれ!」


土方の声に近藤さんの顔が険しくなった。
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