狂桜鬼伝 四

□エピローグ
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――――

――










『ほら!早くしろ!
出かけるぞ!!』


「え?!どこにですか?!」


――あれから三年

私は`この九条家`の長となり
`また`お嬢をやっている。


だけど、もう売りはしていない。
陸斗と海斗とあいつらのことを
片時も忘れたくないから。


――そして、私のもとに側近が就いた。



三年経った今も不慣れだけど
私の我儘に必死になって応えてくれる。



ツバサ「あれ?百合様どこに行くの?」


襖から顔を出したツバサが私に話しかける。


「百合様どこに行かれるのかは存じ上げませんが
日本刀を持っては捕まってしまいます!」


『別に拳銃所持してんだから一緒だろ。』


腰に刀を差す私を見て声をあげる。


「いやいや、
拳銃は我々だから許されているようなもの!
日本刀など、現代では支流ではないため
持ち歩いてはいけませんよ!!」


『なんだ、支流だったらいいのかよ?』


私の言葉に目が点になる側近。


「ですから、そういう意味でもありません!」


『はぁ・・・・まったく・・・
これを渡しにいくんだからしかたねぇだろ!』


神楽「顔なんか出して何やってんだい、ツバサ?」


ツバサ「いや、いつもの光景だけどさ。
百合様が今日出かけるから側近君と喧嘩してるの。」


後ろに二人の気配を感じながら
私は口うるさくいうそいつにため息を吐く。


結「昨日日野行く。
百合言ってた。」


ツバサ「日野?!
また何でそんな遠いところに・・・」


神楽「ふぅ〜ん。
なるほどね、あれから三年だもんね。
そろそろ会いたくなったんじゃない?」


オレンジジュースを飲んでいる結は
呆然と私を見つめながら話していた。


結「それに・・・・
刀・・・・も・・・」


「ですからどこに行かれるんですか?!
今日出かけるときは昨日申していただかないと!

それに・・腰ではなく肩におかけください!
腰に差してしまえばやはり目立ってしまいます!」


『腰がいいんだよ・・
それに捕まりそうになったら
お前が助けてくれるんだろ?』


私の言葉に側近はため息を吐く。


「まったく他人事だと思って・・・」




ザッ


神楽「一応聞いておくけど、
護衛はつけなくていいね?」



『・・・・・あぁ、もちろんだ。』



部屋に入ってきた神楽に
私はふっと笑いながら答える。


ツバサ「はぁ〜
お嬢が長期でいないなんて・・・
九条家のことも考えてよね・・?」


結「・・・・帰宅、待ってる。」


『・・・あぁ・・・
迷惑かけるな・・・』



私はそう言って部屋を出ていく。


「百合様!
ですからどこに!」


ザッ


神楽「あれから三年。
側近君にもきっと話してくれるよ」


声をあげた側近に神楽は優しくつぶやく。


「・・・?・・・」


ツバサ「百合様についていくといいよ。
きっとあの場所にいるから。」


ツバサはそう言って格子の外を指さす。


「・・・・・・」


側近は眉を寄せて部屋をでていった。
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