狂桜鬼伝 弐
□九条百合
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俺達が百合と初めて出会ったのは
百合が`そこ`から出てきた時ではなく
もっと前から百合と出会っていた。
それは俺が九条 克己(かつみ)。
百合のお父様の行動を
怪しんでいた時でした。
克己「………誰もいないな?」
克己様は辺りを見渡した後
素早く`そこ`にお入りになられました。
壁の影からそれを見ていた俺は
`そこ`から戻ってくる克己様を待っていました。
克己「……じゃぁな、百合。
また明日来るからな。」
『!!!!!!』
`そこ`から出てきた克己様は
俺に背を向けながら後ろに声をおかけになった。
「いやっ……パパ……待って……」
耳に響く幼い声。
震えていて消えてしまいそうな声。
俺はその時初めて百合様の存在を知った。
克己「百合……また来るから……
それまでここにいろ?」
辛そうにお話しなさる克己様。
そして克己様は`そこ`を閉めて
辺りを見渡したあと走っていってしまった。
『………子供……………?』
まさか………九条克己様が……?
皐様の側近のようにいつもお側にいらした
克己様が………何故………?
俺は克己様が出てきた`そこ`に近づいた。