狂桜鬼伝 参
□一途な想いの果て
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ガバッ
『……はぁ………はぁ………はぁー…』
勢いよく身体を起こし汗で額に
へばりついた前髪をかきあげた。
(……………愛してる………)
確かに`誰か`から言われた気がする。
『…………何も覚えてない……』
何があったのか、私が何をしたのか
相手から何をされたのか、何を言われたのか。
――――――何も覚えていない
『…………っ………』
だけど身体の視覚を除いて四感全てが
何の行為を行ったのか私に伝えている。
『…………また…………誰かを……』
――――――――汚してしまった
私は自分自身を抱きしめながら
前のめりになって布団に顔をうずめた。
ギィ ギィ ギッ
突然聞こえた縁側を歩く音に
私は身体を起こし頬に流れたモノを拭った。
『……………百合様、陸斗です。
……ここにいらっしゃいますか?』
襖に影を映しいつもの声音で
言った陸斗に私は視線を移した。