狂桜鬼伝 -九条家秘話-

□雨のち曇り、時々晴れ。
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世間知らずのお嬢。
外の世界なんかに行きたくない。
太陽も嫌い。
明るいのだって好まない。


ポツッ ポツッ



暗いのは好き。
だから夜も好き。
だけど月と星は嫌い。
だって明るいから。


百合「・・・・」


ここ最近の天気は曇り気味。
そして空が悲しいのか、涙のように雨が降ってくる。


漆家の暗い色をした方が
梅雨だって教えてくれた。


だけど梅雨は何のために来て
梅雨は何で雨が降るのかまでは
教えてくれなかった。


聞こうともしないし。
漆家も詳しくは話さなかった。


自室に大量にある本に自然の摂理だって
書いてあるのを見つけた。


今は六月という月。
六月は夏の準備をする月なんだって・・。


縁側を行き来する女中と男中たちは
みんな梅雨が嫌だって言ってた。


ザザザザー


百合「・・・・」


だけど、私は好き。
この雨の音もちょっぴり怖いけど
暗くて真っ暗で・・
光を遮ってるこの厚い雲が・・。





私の泣き声と私自身を隠してくれてるみたいで















――好き。
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