狂桜鬼伝 四

□私闘の末
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慶応四年四月末


私と千鶴と宇都宮の戦いで負傷した土方は
先行していた新撰組の本体と合流するため
日興口より大内峠を抜け鶴ヶ城のある会津若松を目指し
海道を北上していた。


私はあれから深い深い眠りへとつき
今も土方の前に座り馬に揺られ眠っていた。


海斗・・・



海斗の血を飲んで忘れてしまったと思っていた

海斗の顔が今脳裏にしっかりと焼きついている。


――そして今も海斗のあの最期の笑みが頭から離れない


今すぐにでもいつものように
私の名前を呼びながら寄ってきて。
私を怒らせて迷惑かけて・・
ずっと隣にいてくれるような感覚に陥る。





『海斗・・・・』





私の呟きは冷たい涙となって頬を伝い流れていく。
その涙を馬に揺られながらさりげなく私を
優しく抱きしめる土方が拭き取った。



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