狂桜鬼伝 四

□紅蓮の想い
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原田side



慶応四年五月十五日

上野寛永寺に立てこもっていた彰義隊に対し
新政府軍が一斉攻撃を始めたことから激しい戦闘が始まった



『はぁ・・はぁ・・』


俺はそのことを耳にし
羅刹隊を滅するため奴らが現れるところで身を潜めていた。



ザッ


『!!!!・・やっぱり来やがったか・・』


前方に見える二つの赤い目。
暗闇によく光り恐怖を覚えさせる。



「よぉ、よくここが分かったな・・原田・・」



『!!!!!』



その声に後ろを向くと不知火が悠々と立っていた。


こいつ・・


『ふっ綱道さんが羅刹たちに大量の血を与えるために
新政府軍の過激派と手を組んだって言ったのはお前だろ、不知火?』


不知火「そうだったっけか・・?」


そう言ってしらばっくれる不知火。



『と、くれば大きな戦の後は血を求めてやってくる。
しかもあの姿で・・・

人目につきすぎるから夜に動くしかねぇ・・』


不知火「古くせぇ武器を振り回してる割には
頭が回るじゃねぇか・・
だが、そんな物でまがい者たちの心臓を
貫いててもラチがあかねぇぜ?」


不知火はそう言って持っていた道具をおろし
俺に見せ付けた。



そこには大量の銀の玉。


ジャラジャラ


不知火「あの化け物たちを倒すには
これぐらいねぇとな・・」


そう言って不知火は銀の玉を持ってふっと笑う。


この玉でこいつは百合を撃とうとし
陸斗が死んだのか・・・


俺はこいつとは長い付き合いじゃねぇが
こいつが興味本位で百合に銃を向ける奴じゃねぇってことぐらい分かる。


だったら何で・・?



『おい、不知火。』


俺は不知火から視線を移し羅刹隊を見ながら言った。



不知火「あぁ?何だよ?」
























『何で百合を撃とうとした?』



――と。
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