狂桜鬼伝 四

□漆黒の楔
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ドックン ドックン


『ぐぁ・・・はぁっ・・ぁ・・』


波打つ身体。
一向に治まらない鼓動の音。


『はぁ・・くそっ・・』


布団に蹲りながら胸を抑え必死に耐える。


ドックンドックン ドォックン


『かはっ!』


今までの鼓動の音よりもはるかに大きくなった音。
震えている身体の感覚を失うほど
手が痙攣し始める。

『くそっ・・
こんなときに変化するな・・』


赤くなる視界に目をぎゅっと瞑る。


『はぁ・・・はぁ・・』


昨日の記憶もねぇのに
今朝からこんなんじゃ
本当意味わかんねぇ身体になったもんだな・・


微笑を加えながら思う。


昨日は誡兎が部屋に来て・・
その後・・・・


『何があったんだっけ・・?』


考えても考えても答えなんて出てくるはずがない。



誰かに抱かれた。
ただその事実は変えられないのだから。


『はぁ・・はぁ・・
それにしても身体が怠いな・・』


私はいまだに鳴り続ける鼓動に
ゆっくりと身体を起こしながら耐える。









ダダダダッ


「百合さーん!!」


・・うるさいのが来た・・


私は駆けてくる足音に
全身で脱力しながら縁側に視線を移した。
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