狂桜鬼伝 四

□悲しみと悔しさ
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慶応四年 九月 会津 高久町






キーン


ブチュッ


『くっ・・邪魔だ!』


ザザザッ


「ぐあぁ・・・」



いよいよ勃発した運命の会津戦争。

斬っても斬っても溢れてくる敵に
身体は既にボロボロ。
`この力`を使わないと手が回らない。



ザッ


『はぁ・・はぁ・・』

それにしても・・
この力は身体にくるな・・


何だか・・支配されそうな・・
気持ち悪い感覚・・


キーン


『・・・はあぁ!!』


ズバッ


それに顔に掛かる生臭い赤い血液。
耳を塞ぎたくなるような叫び声。



どれも気持ちが悪い。
それにさっきから止まることのない鼓動の音。


ザザザッ


!!!!


私の進行を塞ぐように立っている敵を葬っていると
後ろから気配もなくやってきた敵に私は振り返った。


グサッ


『っつ!!』


ガクッ


私は腰を貫かれその場に膝を着く。


ドックンドックンと流れるその傷口を
触り握っている刀を握り締める。


ズバッ

「がっ・・!?」


ドサッ


『・・・はぁ・・はぁ・・これくらい・・』


私は傷口を押さえ立ち上がる。


「九条!」


キーン  キーン


後ろから私を呼ぶ声が聞こえ
私はゆっくりと後ろを振り返る。


『斎藤・・』


懸命に私に視線を向けながら刀を振るう。



「がぁ・・」


「ぐあっ!?」


「っ・・ぐっ・・」


周りはとても地獄のよう。
味方がみんな血を流して倒れていく。


みんな・・みんな・・
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