狂桜鬼伝 四

□分かり合えない思い
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―――


ドサッ


板垣「ここで大人しくしていろ。
西郷を呼んでくる。」


大きな建物。
それがここへ入ってからの印象だった。


きっと会津の誰かが使っていたのだろう。
会津の紋章が壁に刻まれていた。


伊地知「西郷はまずお前をどう扱うか楽しみだな〜」


『・・・・・・』


畳の上で腕を縛られた状態で座っている私に
伊地知は近寄って話しかける。


伊地知正治。
奇人として新政府軍では有名だったような気がする。

確かに奇人なような気はするが・・・


私は横目で伊地知を見ながら言った。


ザザザッ


伊地知「おっ来たみたいだぜ・・」


伊地知はそう言って後ろへと下がっていった。


『・・・・・・』


私は廊下から聞こえてくる足音に
腕の縄を無理に解こうとしながら聞いていた。


「・・お前さんが九条百合という者か・・」


『………………』


そう言いながら板垣と一緒に現れた西郷は
私の前の椅子に腰を下ろした。


こいつが・・・西郷・・・


独特のその雰囲気。
教科書に載っている写真とはまったく違う。
とても恐怖を覚えてしまうその雰囲気。


西郷「そのように怯えなくとも
お前さんには何もせんよ。・・・今はな・・」


『・・・・・』


ふっと笑っていうその言葉に私は歯を鳴らす。


『これ・・・はずして・・』


私は縄を動かしながらそう言った。


西郷「退助、はずしてやれ。」


板垣「・・はい・・」


そう言って板垣は私の後ろに回って縄を解く。


『・・・・・・』


ザザッ


板垣「!!!!!」


伊地知「退助!」


ドサッ


一瞬の出来事。
だけどそれはとても俊敏に静かに。


『・・・・・・』


西郷「さすが、というところか・・」


縄を解かれた直後私は板垣の腕を掴み
その腕を捻って馬乗りになった。
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