狂桜鬼伝 四

□鬼の血と羅刹の血と人間の血
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―――


「捕らえたのか?
それはさぞ殺されたわらわのしもべたちも
喜んで嘆いているじゃろ。」


『!!!!!』



聞き覚えのある話し声。
忘れたくても忘れられない姿。


昨日と同じ部屋に連れられ
そこには西郷と桂、そして一人の女。

ギィ


『・・何で・・お前が・・ここに・・?』


「・・・くすくす、久しいの九条百合。
わらわは会いたかったぞ。」


そこにはあの時代京を総べていた九条三代目お嬢がいた。
あの頃と同じように漆家を二人控えさせ
鮮やかな着物を身にまとっていた。


ザッ


「髪を切ったのじゃな・・
とてもよぉ似合っておるぞ。」


そう言って固まる私に近づき髪を触ろうとする。


ザザッ


「!!!!!」


グイッ


『・・っ・・よくも!
よくもあのときは私を弄んでくれたな!!』

お嬢へと手を伸ばそうとすると
伊地知から腕を掴まれていた私は
そのまま後ろに引っ張られながら叫んだ。


「・・・・わらわはお主がどんな存在なのかを
確かめたかっただけじゃ。
それにお主達は漆家を手にかけただけではなく
九条家まで荒らしおって・・・
わらわはお主だけを連れ去っただけだというのに・・。」


『・・くっ・・』


その言い草に私は歯を鳴らす。


「・・・それにまったくあの頃と
何も変わっておらぬではないか。
・・まぁ変わったところもあるようじゃが・・」


そう言ってお嬢は私の後ろへと視線を向ける。


西郷「・・おぉ、風間殿。
来ていたのか・・。」


桂「・・・鬼が二人・・」


静かに入ってきた風間は
私を一瞥して西郷に近づく。


『風間・・?』


風間「・・・西郷、何故こいつがいる?」


風間はお嬢を一瞥して西郷へ流し見る。


西郷「・・・風間殿から血を頂戴できなければ
九条福(ふく)殿から頂戴しようと思うてな。
ここへ呼んだのだ。」


スッ


福「・・・わらわは京に住んでおる。
こやつらのつまらん争いのせいで
屋敷は被害を蒙った・・
・・されど聞けば勝利は
新政府軍の手の中にあると聞く。
じゃからわらわはこのつまらん争いを
終わらせるため不要である羅刹を殺すことに
協力したのじゃ。

もちろん、勝利の暁には・・・
屋敷を元通りに戻すという約束でな・・」


福の言葉に私は目を見開き
拳に力を入れる。


福「風間殿・・・お主なら分かるじゃろ?
この百合の血とわらわたち鬼の血を使えば・・
羅刹の力はなくなり・・・朽ちてしまうと。」


風間「・・・・・」


『!!!!!・・・朽ちる・・?』



私の言葉にお嬢は私の方を見てにやりと笑う。


福「まだ話していなかったのか、西郷?」



西郷「・・あぁ・・」


『・・・私の血と鬼の血がどうして
羅刹を殺すんだよ・・・?』


お嬢は懐から扇子を取り出して広げた。


福「よいか、お主は根本的なところから知らぬ。」


お嬢はそう言って扇子で口を隠す。


福「・・変若水はわらわたち九条家が
当初から研究をしていたわけではない。
研究され実験された変若水を九条家に
持ってきた奴らがいるのじゃ。」


『・・・え・・・』


初めて聞くその事実に私は目を見開く。































福「・・その名は羅刹天。
のちの漆家の長じゃ。」


『!!!!!』


私はその言葉に息が止まってしまうほど衝撃を受けた。


漆家が・・すべての始まり・・・?
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