あの夏の空に
□西浦高校
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9組に着いた後、廉を教室に入れるのは大変だった。
カチコチに緊張し、瞳に涙を浮かべる廉を見た時は、我が兄ながらこの先が不安になる。
はたして、ちゃんと自己紹介は出来ているのだろうか…
いや、間違いなくまともな自己紹介は出来ていないだろう。
お願いだから友達は作って欲しい。
そう強く心から思う##NAME2##だった。
「おーい、次は三橋の番だぞ?」
『あ、はい!』
ガタンッ!!!
『うわっ!』
「そんなに焦らなくてもいいんだぞ三橋?」
「「「あははははっ」」」
『っ///…わ、私の名前は三橋奏です!群馬から来ました!友達たくさん作りたいです!!よろしくお願いします!』
「よろしくね!」
「よろしく〜」
『あ!それと、双子の兄も西浦に居るので兄共々よろしくお願いします!』
「おし、三橋座っていいぞ!じゃあ、次」
『はぁ、緊張した…』
「でも、面白かったぜ」
『ん?君は…?』
「俺は花井、花井梓」
『梓?…可愛い名前だね』
「やめてくれ、下の名前で呼ばれんの嫌いなんだ…」
『えー、良い名前なのに!梓、梓、アズサ』
「お、おいっ!」
『冗談だよ、花井くん?』
「…ったく」
『これから宜しくね、花井くん』
「ああ、よろしく」
『ところで、花井くんは野球部に入るの?』
「な、なんで…」
『だって坊主だし…野球少年って言ったら坊主が基本でしょ?』
「基本って…まァ、野球部は見に行こうと思ってたけどよ」
『私も』
「は?」
『私も野球部見に行こうと思ってた』
「女子の…?」
『男子の』
「…あ、マネジ?」
『うん、マネジ』
「へー、そうな「何?お前ら野球部入るの?」えっと、誰?」
「阿部隆也、野球部所属」
『もう入部してるの?』
「ああ、春休みからグラ整してた」
「偉いな」
「お前ら野球部入るなら、この後グラウンド来いよ。やってるから」
「あー、じゃあ行こうかな」
『私も兄連れて行くよ』
「「兄?」」
『そう、私の双子の兄。レンも野球やってるんだよね』
「ポジションは?」
『投手』
この出会いが、私たちの青春の始まりだった
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