あの夏の空に

□夕飯と反射
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あの後、作った夕飯はあっと言う間にみんなのお腹の中に消えていった。
あんなに料理が美味しそうに、そして美味しいと思ったのは久々だ。
これもシガポの言っていた3つのホルモンのお陰なのだろう。


食事を終えた一同は明日のミーティングとお風呂を済ませ、寝る準備を始めていた。
そんな中、肩にタオルをかけ男子部屋に向かう奏の姿が…




『ごめん、入るよ?』


「あ!奏だ!!」




『やっほー、田島くん。廉知らない?』



「そういや見てねェな…」

「なに、三橋いないの?」




『うん、さっきから探してるんだけど…あ(見つけた)』





奏の目に止まったのは、廊下とは反対側にある障子で仕切られた窓。
そこに背中を丸めて座っているであろう兄を想像し、奏は1つ溜め息を吐くのであった。





「なーなー!奏はどう思う!?」

『え?…なにが??』



「シガポとモモカンの関係!」


『普通に監督と顧問じゃないの?』



「いーや、俺はそう思わないね!きっと2人は只ならぬ関係だぜ、ゲンミツに!!」


『それってモモカンとシガポが付合ってるってこと…?』

「そう!」



「なっ!」

「…俺、いま嫌な想像しちゃった」

「俺も…」




『?』





「ところでさ、この部屋に全員寝るの辛くね?」




「確かに…」

『人数ぶんの布団は敷けなさそうだね…』






ガラッ!!!




「「『!』」」




「さー、寝よ寝よ!」



「シガポ!?」

「何でっ!?」


「寝る時は前後関係なく今日良かった事を思い出しながら寝てねー。
ドーパミンを働かせながら眠る事でより効果的な疲労回復が「あの、先生…」ん?」


「あの、布団を人数分敷くスペースがありません…」



「そっか…君たちにはまだ分からないだろうけど、男女の間は寝てみて初めて深くなるんだよねー」






「「「なっ!?///」」」


『その話しで思い出した、私ここに寝に来たんだ!』






「はァ!?///」

「ちょっ、奏ちゃん!?///」



「マジマジ!?じゃあ、俺と寝ようぜ!!」

「田島ァ!!///」





『私が寝に来たのは廉だよ?ついでに様子見に…』







「(な、なんだ、そう言う事か…)」

「(心臓に悪いよ…)」

「(ちょっと想像しちゃった///)」

「(にしても、三橋の奴ズルイ…って何考えてんだ俺は!///)」




「みんなも毎日違う相手と一晩ずつ同じ布団で「バシッ!!」」


「まったく!」




バシンッ!!


「うおっ!」



「「おー!」」





「このっ!!」




花井がシガポに枕を投げ、シガポがそれを花井に投げ返した事で枕投げ大会が始まってしまった。
奏はなるべく被害を受けないようにしゃがみながら廉の元へと急いだ。




『れーん?』

「奏…」



『まだ寝れないの?』

「え、えっと…」


「三橋疲れた?今日はそんなに体使ってないぞ?…昨日は良く眠れた?」



「っ(眠れないなんてバレたらまた性格の事言われちゃう…)」



『あ、あの志賀先生…』


「大丈夫、です…」










『廉!危ない!!』


「へっ?」


「うわぁっ!」








バシンッ!!!






「う、へっ…」


「『…あーあ』」












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