こんにちは、世界
□はじまり
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皆さんは転生という言葉をご存知でしょうか。
転生。輪廻転生。即ち生まれ変わる事。
生前の私も宗教学で何度も聞いた言葉だ。
だがしかし、実際に自分が転生するなんて誰が思うだろう。
あの日、あの時、確かに私は死んだのだ。
しかし、次に意識を持った時、私は赤ん坊になっていた。
これじゃあまるで漫画の世界じゃないか。
なんて冗談を思っていれば、本当に漫画の世界だった。
生前(転生した今生前と言うのは可笑しいかもしれないが、)
私が前の世界で生きていた頃、有名な少年誌に連載されていた漫画の世界に私は生まれた。
夢でも見ているのだと自分に言い聞かせたが、感じる肌の感覚や匂いや音は本物だった。
それでも、信じられなくて、信じたく無くて私は世界を拒絶しようとした。
けれど、向けられる愛情が暖かくて今生きていられる事に涙が流れた。
私は私が思っていた以上に死にたくなかったのだ。
本当は未練が沢山あった。もっと生きたかった。
そう思ったら涙が止まらなくなった。
これが神様のくれたものだと言うなら、私はもう一度生きてもいいのだろうか。
そんな私の問いに答えてくれる声はない。
もうこれが夢だって構わない。
この夢が覚めるまで私はここで生きよう。
だから、言わせて欲しい。
こんにちは、世界
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