手のひらを太陽に

□9,幼馴染み
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浩太郎と朝の散歩から帰っているある日の土曜日。
偶然会ったのは同じ階に住む吉田さんだった。



「あら!小乃恵ちゃん!」
『こんにちは吉田のおばさん』
「浩太郎くんもこんにちは」
「こんにちわ…」


『吉田さんは今からお買い物ですか?』
「ええ、そうなの!…そうだ小乃恵ちゃん。帰る時気をつけてね…?」
『はい?』
「家の近所に変な人がうろついてたのよ…怖いわよねぇ」
『そうなんですか…わざわざ教えてくれてありがとう御座います』


「いいのよ!ご近所さんだもの!!それにしても小乃恵ちゃんは偉いわよねぇ、幼い弟さんと2人暮らしでしょ?
まだ中学生なのにしっかりしてるは!うちの子も見習って欲しいもの!!」
『あはは…じゃ、じゃあ私たちそろそろ行きますね』

「あら、こんな長々とごめんなさい?何か困った事があったらいつでも言ってね!」
『はい、失礼します』
「ばぁいば」



吉田のおばさんの話しを早々に切り上げ帰る事に成功した。
あの人は良い人なのだが話しが長いのだけ厄介だ。



***



『で、何で家に居るのかな…仁?』
「あァ?」



家に帰ってみればまるで自分の家のようにソファで寛ぐ亜久津仁が居た。
何を隠そう仁は私の幼なじみである。
彼も昔はもう少し可愛げがあったのに。中学に上がって白菜頭になっていた。


『吉田さんが言ったたのは仁の事か』
「あァ?誰だそれ」
『ご近所さん。で、何で居るのさ』
「別にいいだろ」
『そもそもどうやって入ったの?』


「にいちゃ…!」
「よお、チビ」
「こた、ちっちゃくない!」
「ハッ!俺から見りゃ小せぇよ」

『こーた遊ぶ前にお手て洗っておいで?』
「んー!」
「おい、すぐ出かけるぞ」
『は?』





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