手のひらを太陽に
□19,約束
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白い壁が続く静かな廊下。
赤いランプの付く部屋の前彼らはそこに居た。
そこにいる誰もが願っていた。ただ1人の無事を。
「くそっ!何でこんな事になったんだよっ」
「…赤也、落ち着きんしゃい」
「今俺達が騒いでもしょうがねェだろ」
「けど!あの時もっと早く気づいてればこんな事には!!」
「赤也!止めないか!!」
「っ何で先輩らは平気でいられるんだよ!!!」
「平気な訳ねェだろ!?」
「…ええ、この場に平気な人なんていませんよ」
「赤也みんな赤也と同じ気持ちだ…」
「でもっ!死ぬかもしれないんっスよ!?」
「赤也!!」
「うわぁああああああん!!!」
「!」
「こ、浩太郎!!」
「ねぇちゃしんじゃやだぁ!!!」
「浩太郎!大丈夫だ!絶対、お前の姉ちゃんは死んだりしねェからっ」
「このねぇちゃぁ!!!」
「浩太郎くんっ」
「うわぁあああああああああああん!!!!」
あの場にいた誰もが浩太郎が車に跳ねられると思った。
しかし跳ねられたのは小乃恵の方だったのだ。
***
道路に転がったボールを拾おうと車道に出てしまった浩太郎。
そんな彼の先方からは一台の車が迫っていた。
キキーッ!!!
「!」
『浩太郎っ!!』
「危ねェ!!」
「浩太郎くん!!」
咄嗟の事に小乃恵は浩太郎を突き飛ばした。
考えるより先に体が動いたのだ。
小乃恵の体はドンと鈍い音を立て数メートル先に飛ばされた。
彼女が中を飛ぶ姿をただ目の前で見ている事しか出来なかった彼らにはこれが現実なのかすら分からない。
いや、それはまるで頭が脳が理解するのを拒否しているようだ。
さっきまで一緒に笑いあっていた筈の少女は地面に倒れて動かない。
昨日の事が遠い過去のように感じさせられる。
だが、そんな呆然とする彼らを呼び戻したのは、小乃恵から流れ出す赤い血だった。
「日高!!」
「丸井!下手に動かすな!頭を打っている可能性がある!!」
「真田救急車を!!」
「ああ!!」
『…ぅ…』
「日高!」
『…こ、う…』
「大丈夫だ!浩太郎は気を失っているだけだ!!」
『…こうた、…ろ…を…』
「日高さん!もう喋っては駄目です!!」
『こうた、ろを…おね、がい……』
「日高…?」
「日高!しっかりしろ!!」
「日高さん!!」
「日高ァーーーーーッ!!!」
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