手のひらを太陽に

□21,家族
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あの後、医者に1ヶ月は入院だと言われた。
だが、ちゃんとリハビリすれば以前のように動けるようになるらしい。
この一週間は安静にしているようにと言われたが。
それよりも驚いたのはノブ先生が実は親戚で、しかも保護者である藤本さんだと言う事だ。



『それならそうと言ってくれれば良かったのに…』
「少し恐かったのんだ存在を否定されたらと思うと。大人なのに可笑しいよね」
『確かに急に血の繋がった家族がいたって知ったら戸惑っただろうけど…でも家族がいて嬉しかった』
「俺もそう思うよ」



本当の事を言えば小乃恵に事実を切り出さなかったのは他にも理由があった。
ノブ自身も中学2年の頃に両親を事故で無くしている。
その時、周りの人に支えて貰ったが、今の自分は2人の支えになる事が出来るか不安だったのだ。
だが寄り添うように眠る小乃恵と浩太郎を見た信昂にその不安はもうない。




「ぅん…ねぇちゃ…」
『こーた起きたの?』
「!…ねぇちゃ?」
『そだよ…ただいまこーた』


「っうぁあああああああああん!!!」
『こーた恐い思いさせてごめんね』
「ねぇちゃ!ねぇちゃ!!どこにもいっちゃやぁ!!!」
『私はここにいるよ。もう何処にも行かない』
「ひっく、ひっく…」
『よしよし』


「やっぱり不安だったんだね、浩太郎くん」
『ダメな姉ですね、私は』



転んでも絶対に泣かなかったこーたが大きな声で泣いている。
腕の中にこーたの暖かみを感じながら、優しく抱きしめた。
私は両親が病院へ運ばれたたときの事を思い出す。
1人になってしまうかもしれない不安や恐怖をきっとこーたも感じたんだ。



「ずっとねぇちゃと、いっしょいる」
『そうだね…あ、でも1ヶ月間は入院だし…』
「やっ、こたねぇちゃといっしょいる!」

「ははっ、病院に聞いてみるよ」
『すいません…』
「気にしなで。浩太郎くんもこのちゃんと一緒に居たいだろうし」
『本当ありがとう御座います』


「それより、その敬語やめない?俺たち家族なんだし」
『家族…』
「そ、俺は2人のお兄さん」
『父親じゃなくて…?』
「このちゃん俺まだ20代だからね?」
『ふふっ、冗談です…じゃあよろしくね、ノブ兄さん?』



「ノブ兄さんって呼ばれるのも悪くないね」
『お兄ちゃんに変えてみます?』
「…日高の叔父さんに怒られそうだから止めとくよ」
『…ああ(納得)』







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