手のひらを太陽に

□24,伝統行事
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中間テストも終わり青々しかった木々もオレンジ色や紅色に姿を変えた。
もうすっかり季節は秋である。



『こーたがねどんぐりで作った人形くれたの!』
「それをキーホルダーにして持ってるのか(変なキーホルダーを付けていると思ったらそう言う事か)」
『もー!可愛いでしょ!!』
「小乃恵って本当ブラコンだよね」
『うん!』
「確かに浩太郎くんは可愛いかったな〜」
「村上のくせに」
「何でだよ!?」


「村上が浩太郎と仲良くなったのに妬いているんだろ、丸井は」
「男の嫉妬は醜いわよー」
「うるせェやい!」



「柳ー!A組の女子が呼んでる」
「…分かった」


いつものように5人でお昼をとっているとクラスの男子に呼ばれる柳くん。
教室の扉の前には見た事のない女子がそわそわしながら立っていた。



『また呼び出しかな』
「だろうなー」
『最近多くない…?』
「文化祭が近いからじゃない」
『文化祭が近いのは知ってるけど何で告白?』


「そっか!日高ちゃんは今年から入ってきたから知らないのか!!」
「うちの学校の文化祭はある伝統があるの」
『伝統なんてあるんだ』
「文化祭の3日前になると全校生徒にそれぞれ自分の名前の入ったリボンが配られるんだぜ」
「男子が青で女子が赤。それを文化祭最終日の後夜祭までに誰かと交換するんだよ」


「友達だったり恋人だったり片思いの相手だったり…
兎に角自分にとって大切な人と交換するってのがこの学校の伝統なわけ」
『なるほど…』
「だからこの時期はカップルが増える。告白もな」
『柳くん!もう話しは終わったの?』
「ああ」
「早くね?」
「告白され馴れてるって事でしょ」
『すごー』


「何でテニス部ばっかモテるのか分からないわ」
「モテるのも大変なんだぜ?古沢には一生分からねェだろうけど!」
「はァ!?」
「お前彼氏いないんだろ?」
「マジ丸井うざい!!」
「図星?」


「本当失礼!もういい!!」
「オイ何処行くんだよ!!」
「委員会!!」
『お仕事頑張って万里子』
「行ってくるね小乃恵」



そう言い残し万里子はお昼の委員会の集会に参加しに行った。
残された私達の視線は未だ教室の扉を見続ける丸井くんに注がれる。



『丸井くん』
「丸井」
「はぁ…」
「な、なんだよ…」

『本当、素直じゃないね』
「う、うるせェっ!」





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