手のひらを太陽に

□33,模様替
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半ば無理矢理泊まらされた柳。
どいにも寝付が悪かった理由は自覚済だ。



「はぁ」

「もう食べられねぇーよぉ…」
「…」

ゴン!!
「っいてぇ!」



普段なら可愛いと思える後輩の寝顔も今ばかりは苛つく。
まあ、赤也を起こすためにもなったので良しとしよう。



***


朝食を4人で済ませ、部活がある赤也くんを送り出した。
さて、昨日の宣言通り今日は家の模様替である。


「で、ホームセンターで何を買うつもりだ?」
『板だけど?こーたの机作るんだ』
「作れるのか?」
『ノブ兄さんがね』
「なるほど」

「こーたきいろすき!」
『じゃあペンキで黄色に塗ろうか』
「ん!」
『あ、カーテンも淡い黄色にしようかな』
「模様替は浩太郎の部屋を作るということか?」
『そうだよー。こーたも男の子だし自分の部屋があったほうが良いでしょ?』
「確かにな」
『いつかこーたも反抗期とかくるのかな…』
「まだ何年も先の話しだろ」
『…でもお姉ちゃんなんか嫌いとか言われたらショックで立ち直れない』


「こーたねぇちゃすきだよ?」
『!私も大好きだよー!』
ぎゅー!!
「(ブラコン)」


浩太郎が可愛過ぎて可愛過ぎて。
あの親バカにしてこの弟バカありだと自分でも思う。


「姉弟愛を深めているところ悪いがこの雨の中どうやって荷物を運ぶ気だ?」
『それなら大丈夫!ノブ兄さんが車で向かえにきてくれるから』
「俺は果たして必要か?」
『家具を運ぶのに必要だよ』
「その為だけに男を簡単に泊めるな」
『まだその事言ってんの?何もなかったんだしいいじゃん』
「だから何かあったらどうするつもりだ」
『ないでしょ。仁が泊まりに来るけど特に何もないし』


「は?亜久津が泊まるのか?」
『月に2・3回ね』
「こたといっしょにねるんだよ!」
『何だかんだで仁もブラコンだよね』
「…勿論ノブ先生もいるんだろうな?」
『ノブ兄さんが居るときにあの仁が来るわけないじゃん』
「頼むからもう少し危機感を持てくれ…」
『いや、仁とは昔からの付き合いだし…ね?』
「ね?じゃない!今と昔は違うだろうが」
『なんか柳くん手塚くんに似てきた?』
「…はぁ(手塚も苦労していたんだろうな)」



柳は手塚と小乃恵の関係はよく知らないが彼も今まで苦労していたのだろう。
小乃恵はどうにも男に対しての危機感が少なすぎる。
このままでは将来が不安だ。



「お2人さーん向かえに来たよー」
「なぜ柳はもう疲れているんだ?」


『ノブ兄さん』
「と、弦一郎…?」





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