僕のとなりに君はいない。
□1. 閉ざされた道
1ページ/3ページ
「私たち、別れよう」
目も合わさずに、
俺の家の玄関で突然彼女が言った。
このセリフは何回も聞いた。
木下晃=B
フラれるのはいい加減慣れた。
理由は俺の浮気。
俺はこいつに恋愛感情なんて持っていない。
「わかった。じゃ〜な」
嘘の笑顔で別れを告げる。
「なにそれ…浮気に関しては
謝りもしないわけ!?」
しつこいな…。
「は?
お前から別れようって言いだしたんだろ。
もう俺たちは他人だから」
バシッ
頬をこれでもかというほど強く叩かれた。
「最低……」
「もういい。さよなら」
にらみながら扉を開け、
足音を立てながら彼女は俺の前から去っていった。
「いってえな…」
おもいっきり殴りやがって。
怒りがこみ上げてきたが、
やつあたる物もないので押さえるしかなかった。
また彼女つくんないとな…
俺は、彼女がいないと落ちつかない。別に好きで付き合っていないけど。
部屋に戻り、苛立つ気持ちを落ち着かせる。
本当は、彼女ばかりつくっている自分はどうかしていると思う。
しかしあの元カノ≠フ存在を思い出すと、止められない。
今でも思い出そうとすると、頭がズキズキと痛む。