僕のとなりに君はいない。
□2.打ち合わせ
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ジリリリ……
目覚まし時計の音が鳴り響く。
俺は時計を止めながら、ゆっくり目を開ける。
今日も仕事にいかなければならない。
新ドラマの打ち合わせがあるのだ。
俺が主役で出演する。
今大人気の女優、AYA≠ニ共演するらしい。
番組でも会ったことがないから、どんなやつか全然知らない。
どうせ、ブリッコか性悪に違いない。
よくわからない自信をもった。
朝飯を食べて、洗面所に行き髪をセットする。
仕事用の服に着替えて家を出る。
俺の家は普通のマンション。
しかし、エレベーターがなぜかない。
唯一の疑問だ。
少し古びた階段を降りながら、ケータイを確認する。
マネージャーからメールがきていた。
〈仕事場所、関東ビルから渋谷ビルに変更。〉
危なかった…
メールを見る前にタクシーに乗っていたら、遅刻になるところだった。
この二つのビルは、まったく違う方向にある。
関東ビルはタクシーじゃないと遠い。
渋谷ビルだったら、徒歩で10分くらいだ。
今の時間は…[9:25]。
あと5分しかないじゃないか!
今の今までのんびりあるいていた自分は、なんだったのだろう。
時計の時間がずれていたんだと思う。
急いで走る。
はたして間に合うのか…。