僕のとなりに君はいない。
□4.マンツーマン
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♪〜
着信音が鳴り響く。
〈兄貴今日、家に来るって
覚えてるよな?(^ー^)〉
広樹からメールだ。
忘れてると思ったのに…。
俺は面倒臭いので、いかないつもりでいた。
まぁ用事も何もないけど。
〈覚えてるよ!今から向かう〉
とりあえず返信する。
こーなったら行くしかないじゃないか。
持っていくものも特に言われていなかったので、上着を羽織り、ケータイだけ持っていった。
ビュゥッ
外に出ると、強い逆風が俺の進行をさまたげる。
耳は近々に冷え、目もはっきり開けられない。
冬がやって来たなと感じる瞬間。
今は12月末、当然寒いに決まっている。
見馴れた実家が見えた。
ピンポーン…
《はーい、今開けます》
インターホンから声が聞こえてくる。
「あっ、晃じゃないの〜!」
相変わらずテンションが高い母親が顔を出した。
「おう、久し振り」
「いきなり来るからビックリしたよ〜!どうしたの?」
「今日、広樹の勉強見る約束しててさ」
「そうなの?広樹はバカだからねぇ。ビシバシ教えてやってよ!」
玄関で二人はしばらく話した。
と、いうか、話し相手に捕まった感じだ。
「ところで広樹は?」
俺がもうきたことに気づいていないのだろうか。
「2階にいると思うから、様子見てきな」