雪の花

□ごめんなさい
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最後まで甘えようと思った。
それで私の心は平常心を保った不利を出来ると思った。


最後の日
「一緒にいたい」
という彼の言葉を振り切って
「あとで会おう」と言った。

彼はその言葉に
首を横に振った。


「どうして?」
「……」
「ねえ…どうして?」
「…俺に彼女が出来たから」


心が割れて闇の中に落ちていった。


さよならの言葉。
涙を押し殺して離れた。
「バイバイ」


そういって背中を向けて離れたのに
彼は背中に寄り添った。
そんな事しても、もう好きじゃないくせに。


別れのキスをしたら涙が出た。
堪えていた涙は、栓が抜かれたように流れていく。
その顔を見て彼は言った。
「笑って」

なんてひどい言葉だろう。
なんてひどい仕打ちだろう。

それでも私は必死に笑おうとする。
彼の言葉に答えようとする。

被っていた帽子を目元まで下ろされて彼は去っていった。


背中を見送るのも苦しくて
その場に座って泣きじゃくった。

帰ってからも泣きじゃくった。
声を上げて。
さよならの思いをのせて。


私は本当に救いようのない生き物だ。
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