魔人探偵脳噛ネウロ2

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「ここで?」

笹塚に通された部屋は職員用のレストランではなく会議室だった。日の落ちて薄暗い部屋に入ると、彼は室内の半分ほど照明を点ける。

「ん、向こうは落ち着かないから」

誰かが今まで会議に使っていたのか机の並びが雑然としている一画を横切ると、笹塚は弥子を窓辺の席へと誘った。

「何か飲み物買ってくるよ」

「あ、別に‥。ああ私が持って来れば良かったですね」

食事をするのに何も水分が無いのは不味かったよね と後悔する弥子に、ちょっと待っててと話すと笹塚は部屋を後にした。










長い廊下を歩いていると明かりの点いている部屋の前を通りかかった。室内からは人の気配がする。
開け放たれたドアから室内を覗き込めば、パソコンに向かっている匪口の姿が目に入った。

ぶつぶつと何か呟いている匪口を一瞥してその場を去ろうとした時、笹塚は彼に呼び止められる。キーボードを打つ手をとめないまま、話かけてきたのは顔を合わせなくなかった為。

「桂木は帰ったの?」

「‥いや、これから会議室で飯にしようと思ってる」

「あそこで笹塚さんと話しこまなけりゃ、今頃あいつと飯食いに行けてたのになあ」

座っていた椅子の背もたれを使って伸びをした匪口の声にはどこか棘が含まれていた。

「言ったろ?先約があるって」

笹塚が鼻で嘲笑ったような気がして思わず戸口を見ると、そこにはいつもの笹塚がいた。

勘違いだったかな

僅かに眉を顰めた匪口を残して、彼は去っていった。



絨毯の敷かれた廊下は足音を吸い込んで人の気配を消してくれる。近寄ってきた気配を察知出来なかったのか、徐にドアが開けられたため弥子がびっくりした様子で此方を見ていた。

「笹塚さん‥」

「ごめん、脅かした?」

詫びながらテーブルに缶のお茶を置くと向かい合って席に着く。

「‥匪口さん、ご飯まだなんですよね‥きっと」

何とはなしに言った弥子の言葉が笹塚の胸を引っ掻いた。



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