魔人探偵脳噛ネウロ2

□Kitty nail
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物分りの悪い


君に



甘い薬と苦いお菓子を



『Kitty nail』



‥警視庁から各局各方面‥

聞き込みを終えて車に戻りドアを開けた瞬間に耳に飛び込んできたのは緊急無線。
車内に乗り込んで聞き耳を立てていると助手席のドアが開き、石垣がコンビニの袋を抱えて憮然としている顔が目に入った。

「‥ったく等々力のや「黙ってろ」

どんな不満を漏らすつもりだったかなど微塵も興味が無いので、いつものように一喝してから無言で無線機を指差す。

「この、近くっスね」

「‥ああ」

急を知らせる声がぷつりと途切れると後は無音のスタンバイ状態が続く。

「どうやら機動捜査隊以外は現場に向かう係は居なさそうですが」

いつの間にか後部座席に乗っていた等々力が声をかけると笹塚は、仕方が無い と溜息を吐いた。

「‥号車、了解」

緩慢な動作でマイクを手に取った笹塚の気だるい声が車内に聞こえると、石垣はコンビにの袋を等々力に渡し彼女はミラー越しに頷いた。






笹塚達が無線を受ける少し前、弥子は叶絵を含めた友人数名とカラオケで盛り上がっていた。
部屋の中では彼女達の笑い声が絶え間なく響いている。歌い終わった叶絵が弥子の隣に腰を下ろすと、誰かがジュースを差し出した。

「あ、ありがとう」

お礼を言ったのは叶絵ではなく弥子。

「それ、あたしの」

伸ばしかけた弥子の手を軽く叩くと叶絵が冷たいグラスを手にとって此方に向き直った。何が言いたいのかと弥子が頚を傾げた時、次の曲が流れ出す。

「あ、これ俺!なあなあ桂木、一緒に歌おうぜ」

メンバーのうちの男子が弥子にマイクを渡して寄越したので、そのまま弥子は席を立った。



‥こりゃ、ヤケクソだな



一見楽しそうに歌っている弥子を見つめると叶絵は心でひとりごちる。



些細な事で喧嘩になったのだと話してくれた友人をカラオケに誘ったのは今日の放課後の事。
歌ってスッキリすればその後で謝るなり何なりするであろうと考えた叶絵だったが、どうにも雲行が怪しくなってきている。
此処を出たら帰ろうと提案する叶絵の言葉を無視して歌い続ける弥子を見て、どうやら喧嘩の根は深そうだと頭を掻いた。

「あー楽しい!」
「何はじけてんだよ?」
「ん、別にぃ」

やけにテンションの高い弥子を気遣って男子が声をかけると彼女はさも愉快だと言わんばかりに彼の腕を取る。曲が終わって二人を囃し立てる拍手に気を良くしたのか、弥子は腕を取ったまま席に着いた。

「なぁ籠原、こいつ何でこんなにテンション高いの?」

「‥ああ、ヤケクソなんでしょ」

「何それ?」

弥子に腕を掴まれたままで話込んでいたら、個室のドアがノックされた。



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