【BL小説】ぬらりひょんの孫
□○○みたいな【猩首】
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「あっっっ!!!」
皆が忙しく動き回る年末の奴良組本家の台所に、雪女の氷麗の叫びが響き渡る。
たまたま一番近くにいた首無はその叫び声にびくんっと飛び跳ね、人呼吸置いてから氷麗に文句を言った。
「大きい声だすなよ雪女、びっくりするじゃないか」
「ごめん首無」
「で、どうしたの?」
「・・・醤油をね」
「醤油?」
「切らしてたのを忘れてたの」
「・・・一本も残ってないの?」
首無の問いに、氷麗は気まずそうにこくんと頷く。
「首無、買ってきてくれない?」
しょうがないなあ、と言いかけて、ふっと何かを思い出したように止まる首無。
「何本いるの?」
「10本」
「そんなに!?」
「しょうがないじゃない、年越し蕎麦も御節も雑煮も作らないといけないのよ。しかも本家だけじゃなくて年末年始は他の組からもお客様が来るんだから」
首無が渋い顔をしていると、本家の手伝いに駆り出されている猩影が勝手口から顔を出した。
「氷麗姐さん、重箱ここでいいっすか?」
ばっと氷麗が振り返る。
「猩影くん!いいところに!うん、重箱はそこでいいわ、それでね、お願いがあるんだけど」